- 2019-7-4
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- LED(発光ダイオード), マイクロLED, マイクロLEDディスプレー, 中性粒子ビームエッチング技術, 東北大学, 産業技術総合研究所(産総研), 発光効率, 研究, 窒化ガリウムマイクロLED, 誘導結合プラズマ(ICP)エッチング技術
産業技術総合研究所(産総研)と東北大学は2019年7月3日、微小な窒化ガリウムLEDの高効率化技術を開発したと発表した。
マイクロLEDはサイズが数μm~数十μmの微小なLED(発光ダイオード)で、これを高密度に配置したマイクロLEDディスプレーは、次世代のディスプレーとして期待されている。しかし、従来の作製法である誘導結合プラズマ(ICP)エッチング技術では、LED側面の加工損傷が大きく、サイズが小さくなると発光効率が著しく低下することが問題になっていた。そのため、微小なサイズのLEDが必要なマイクロLEDディスプレーの実現は困難だった。
そこで、研究グループは今回、加工に伴う損傷が少ないとされる中性粒子ビームエッチング技術を採用。GaN(窒化ガリウム)マイクロLEDの作製に用いることで、発光効率をほとんど低下させることなく、サイズを6μmまで小さくすることに成功した。
また、比較のため、中性粒子ビームエッチング技術とICPエッチング技術を用いて40μm角、20μm角、10μm角、6μm角の4種類の青色GaNマイクロLEDを作製。発光効率の指標の1つである電流密度依存性を調べた。その結果、6μmのマイクロLEDでは、約5倍もの高い発光効率を示すことを確認した。これは解像度に換算すると、仮想現実/拡張現実用ヘッドマウントディスプレーに必要な2000ppi以上の超高解像度も可能になるという。
研究グループは、この成果により、高効率/高解像度のマイクロLEDディスプレーへの応用が期待できると説明。また、今後は、フルカラーマイクロLEDディスプレーの実現に向けて、緑色および赤色マイクロLEDの作製を進める予定だ。