MIT、透明エアロゲルを開発――太陽光から200℃以上の熱を取り出すことに成功

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Photos courtesy of the researchers.

マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、太陽熱利用システムの集熱器として利用可能な透過性と断熱性を兼ね備えたエアロゲルを開発した。シンプルで低コストの集熱器として、従来の集熱器と置き換えが可能で、家庭用の空調から工業用の食品加工や製造工程まで、幅広い分野に向けて熱を供給することができる。研究結果は、2019年6月7日付けの『ACS Nano』に掲載されている。

集光型太陽集熱器は、集光のためにミラーを使ったり、集熱のためにガラスと熱吸収材の間を真空にすることが多く、設置費と維持費が比較的高い。MIT機械工学科のEvelyn Wang教授は、太陽熱の効率的な集熱のカギは、内側は熱く外側は冷たいままにできることだと言う。

研究チームは、よりシンプルでより安いシステムを提供するために、シリカエアロゲルに着目した。シリカエアロゲルは原料が豊富で安く、非常に効率的で軽量な断熱材として広く知られているが、一般的に可視光における透過率は約70%までと限度がある。研究チームは、この透過率を上げる方法に取り組み、高い断熱性能を維持したまま入射光の95%以上を透過させるエアロゲルの開発に成功した。

カギとなったのは、使用する材料の比率の最適化だ。シリカエアロゲルは、溶媒にシリカ含有化合物と触媒を混合して作ったゲルを臨界点乾燥させて作る。そこで、非常に短時間で乾燥する混合物を作ると、内部の細孔が従来より小さくなり、光の散乱が抑えられるということが分かった。

開発したエアロゲルと黒い吸収体を組み合わせた受動デバイスを作製し、大学キャンパスの屋上で実験を行ったところ、外気温0℃以下の冬の日でも、デバイス内部は220℃に達し熱を維持することができた。研究チームは、この効果をエアロゲル層による「人工温室効果」と呼んでいる。

家庭用の空調から、工業用、例えば食品加工や製造工程といったより高い熱を必要とする多種多様な分野での利用が期待される。従来の真空型集熱器と置き換えが可能なほか、Wang教授は次世代の長距離熱輸送への適用も示唆している。

ただし、バッチプロセスによる製法のため、このまま量産化する場合には生産性に限界がある。また、原料コストは安いが、臨界点乾燥には特殊な装置が必要になる。量産のカギは、製造コストをどれだけ下げられるかだが、予備的な経済分析によれば、真空型システムと比べると経済的だという。

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