冷却すると膨張する磁性結晶の仕組みを解明 OISTら

沖縄科学技術大学院大学(OIST)は2019年7月25日、ハンガリー科学アカデミー、東京大学らと共同で、冷却すると膨張する磁性結晶の仕組みを理解することに成功したと発表した。

通常、多くの物質は加熱すると膨張し、冷却すると収縮する「熱膨張」という性質を持っている。この現象は、高温になればなるほど物質中の原子がより活発に動き、原子間の結合が伸びることで起こる。 一方、氷やゴムバンドなどいくつかの物質は、冷却すると膨張するという負の熱膨張(Negative thermal expansion、NTE)の性質を示す。

今回、オランダにあるHigh Field Magnet Laboratory(強磁場研究所)の研究者らによって行われたCdCr2O4(磁性スピネル)を用いた新たな実験で、この物質が低温および高磁場の存在下という特定の条件の下で、負の熱膨張を示すことが明らかになった。研究者らは、凍る際に膨張する水の場合でもCdCr2O4の場合でも、この現象がエントロピーの概念によって理解できると結論づけた。

今回の研究における知見は、負の熱膨張に対するこれまでで最も包括的な説明となる。この物質がどのように機能するかを理解することは、類似の物質の研究指針として役立つという。さらに負の熱膨張の特性は、さまざまな機器や医療用途の設計にも使用できるようになるとしている。

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