電波望遠鏡から月面に発したレーダーの反射波により最高解像度5mの画像撮影に成功

Image credit Raytheon Technologies.

アメリカ国立電波天文台(NRAO)、米グリーンバンク天文台(GBO)、米Raytheon Intelligence & Space(RIS)の科学者チームが、地球上で記録した月のレーダー画像としては最も解像度が高い画像を撮影することに成功した。

チームは、米ウェストバージニア州にある世界最大の可動式電波望遠鏡であるグリーンバンク望遠鏡(GBT)と、口径25mの素子アンテナ10台で構成されている超長基線電波干渉計群(VLBA)を使用し、GBT用に設計された高出力次世代惑星レーダーシステムのプロトタイプをテストした。

13.9GHz帯の電波を最大700Wで出力する低電力レーダー送信機でGBTから月面に向けてレーダーを照射し、レーダー反射波をVLBAが受信する仕組みだ。月面のティコクレーターは解像度5mで撮影され、地球から見た月面がこれまでにないほど鮮明に映し出された。

VLBAと次世代大型電波干渉計(next generation Very Large Array:ngVLA)を受信機として用いるGBT用に、出力500kWのKuバンド(13.7GHz)惑星レーダーシステムの設計が進められており、実現すれば、出力は約1000倍に、波形帯域幅は数倍となり最大600MHzまで対応できるようになるという。

こうしたレーダーシステムは、地球に衝突する恐れがある小惑星などを早期発見して、地球への衝突を防ぐプラネタリー・ディフェンス(惑星防衛)に有用で、地球に衝突する可能性がある危険な対象物の捕捉、追跡、分析への活用が見込まれている。

関連情報

Planetary Defense & Science Will Advance With New Radar on Green Bank Telescope – Green Bank Observatory

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