念願のアプリ開発部署で「Shufoo!」の設計開発に全力投球。ユーザー視点とエンジニア視点のバランスを大切に——ONE COMPATH 山﨑あおい氏

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株式会社ONE COMPATHは、親会社である凸版印刷株式会社が運営していた電子チラシサービス「Shufoo!」の事業を株式会社マピオンが継承し、社名変更する形で2019年4月に誕生した企業。デジタルメディア事業に特化した同社は、Shufoo!のほか、地図検索サービス「Mapion」、ウォーキングアプリ「aruku&」などを運営している。これら多様なサービスを展開し、データビジネス分野を成長させたい、というねらいがある。

同社が運営するShufoo!は、スーパーやドラッグストアなど、約4200法人、約11万店舗が参加しているチラシを中心とした買い物情報サービスで、いつでもどこでもセール情報やクーポンなどを入手することができる。2019年1月現在、月間約4億PV、ユニークユーザー数は月間1100万に上る。

システム技術本部 Shufoo!開発・基盤開発部の山﨑あおい氏は、凸版印刷株式会社に入社以来Shufoo!関連の開発業務を担当。アプリ開発からスタートし、現在は将来の事業構想にも重要な、基盤設計に携わっている。

――山﨑さんは昔からエンジニアに興味を持っていたのですか。

理系に進んだきっかけは、高校時代の文理選択です。数学が好きという理由で理系を選択しましたが、その時点ではエンジニアになるといった明確な将来像はありませんでした。ただ、小さい頃からゲームが好きだったので「こういう面白いものを作れたら楽しいだろうな」というぼんやりした将来のイメージは持っていました。

大学進学を検討する中で、エンジニアになる道は情報系に進む必要があるということが分かり、情報系の学部へ進むことにしました。

ゲームや旅行も好きだけど、カラオケも好き。1人でカラオケに行って「一人武道館」で発散することも

――大学時代からアプリを作っていたとお聞きしています。

はい。研究室の教授から「iOSアプリの開発をやってみたら?」と言われたのがきっかけです。それまでアプリ開発を経験したことはなかったので、勉強しながらいろいろなものを作りました。

例えば、大学で行われる学生向けの授業評価アンケートのアプリもその1つ。従来は紙でアンケートを行っていたのですが、学生は手書きで回答することが面倒で適当に答えてしまう可能性があるので、何か対策を考えて欲しいと心理学部の教授から依頼されました。ただアンケートに回答する機能だけでなく、楽しめる要素も必要だと考え、回答の操作に合わせてキャラクターが動くなどの工夫をしました。また、楽しく、正直に回答してもらえるようにと、アップルウォッチで心拍数をはかりながら回答してもらい、心拍数の高さによって嘘をついているかどうか分かるアプリも作成しました。

――就職先として凸版印刷を選んだのは。

就活をしているときに、印刷会社である凸版印刷がデジタルコンテンツに関わる事業を行っていると知り、驚いたことを覚えています。凸版印刷は事業領域がとても広く、この会社なら色々な事業領域に携わる機会があると感じました。そして、この会社でまず、自分にできるアプリ制作をしたいと考えるようになったのです。面接のときから「アプリ開発を行っている部署に入りたいです!」とずっと言い続けてきましたが、入社後、念願の部署に配属されて夢が叶いました。

先輩に囲まれた初仕事でPMに抜擢

最初は人が書いたコードを読むことが多かった。「コードを読んで理解する力はかなり養われたと思う」

――これまでの仕事の中で、特に印象に残っているのは。

入社して最初の仕事が特に印象深いですね。Shufoo!でチラシを見るための、ビューアを改善するプロジェクトでした。ビューアはFlashという技術で作られているのですが、Flashを無効化してしまうブラウザもあるため、JavaScriptのビューアを開発してブラウザによって使い分けられるようにすることが目的でした。私は、初仕事となるそのプロジェクトで、PMを任せていただきました。入社早々にPMという重要な役割を任せてもらいましたが、これは「チラシビューアはShufoo!の主軸・根幹な部分であり、入社直後だからこそ概要を把握してほしい」、「タスクの一部だけではなく、サービスの機能や全体像を把握してほしい」という意図があったそうです。そのおかげで大変貴重な経験をすることができました。

――新入社員でいきなりPMでは、大変なことも多かったのでは。

そうですね。入社したばかりで分からないことが多かったので、まずは開発に関わる人たちから情報収集するところから始めました。仕事は初めてのことばかりで忙しい状況が続きましたが、その中で悩んだことは、人に仕事をお願いすることです。アプリ開発の経験はあっても、大学生までは自分で調べて自分で作ってきましたから、誰かに仕事をお願いしたことがなかったのです。5人程のチームでしたが、当然全員先輩ですし、最初のうちは仕事を依頼することに勇気が要りましたね。

――その困っていた状況を、どのようにして乗り切ったのですか。

社内でのやりとりはメールやチャットだけで完結してしまうことも多いのですが、相手の席に行って直接話すこと、話をするときは「明るく、元気よく」を意識しました。相手と直接会って話せば時間を取っていただけますし、自分の業務に対する温度感なども伝えることができます。この経験からコミュニケーションを取ることで関係を作っていくことは、すごく大事だと実感しました。

将来も見据えた基盤システムの再構築

――現在はアプリ開発ではなく基盤設計に携わっているそうですね。

はい。Shufoo!をご利用いただいたユーザーの情報は、膨大なマーケティングデータとして蓄積されています。店舗や法人のお客様がセグメントしたり、ログ分析して、今後の広告配信やアクションプランの策定に活用できる、法人向け管理ツールも提供しています(「Shufoo!DMP」)。現在はシステムのパフォーマンスを向上させ、今後の拡張にも耐えうるように、基盤を再構築するプロジェクトでリーダーをしています。

――アプリ側と基盤側では、業務に必要な知識や技術が異なると思いますが、どのようにして身に付けたのですか。

大学の研究室時代からずっとアプリ開発をしてきましたが、実はインフラ側にも興味がありました。そのことは上司にも伝え、インフラの打ち合わせなどにも少しずつ参加させていただきながら、Shufoo!のインフラがどういうものなのかを、まずは自分なりに把握することから始めました。今どんな技術が使われているのかを調べて、理解するために参考書を読んだり、セミナーにも参加して徐々に技術と知識を身に付けましたが、元々興味があってやりたいと思っていたことなので、楽しかったですね。

今は、AIにも興味があり、勉強しているところです。将来的にはShufoo!でもAIを活用したいと考えているので、今回の基盤再構築でもそれを想定して設計しています。

新しい技術を知り、それを活用できる環境がある

子供の頃は画家や考古学者に憧れた。恐竜も好きで今でも図鑑を見るとワクワクするとか

――何が仕事の原動力になっているのでしょう。

新しい技術を知って、スキルアップしていくことがすごく楽しいです。それが自分のナレッジになるだけでなく、実際に活用できる環境が目の前にあることは、大きなモチベーションになっています。

――では、エンジニアとして大切にされていることは。

まず自分が作っていて、楽しめるかどうかですね。この判断軸は、私のエンジニアとしての核になるものだと思っています。同時に、エンジニアは調べることが非常に多い職業なので、未知のものを調べる力と理解力も必要になります。

また、自分のやっていることが本当にユーザーの役に立つのか、ユーザーが満足できるのかを、どこまで考えられるかも重要ですね。基盤側の仕事をしているとエンドユーザーの声を聞く機会がほとんどなかったのですが、最近アプリをリニューアルしてユーザーの声を聞くフォームを設置しました。そこで多くの貴重な意見を聞くことができて、今後開発を進めていく上での参考になっています。

一方で、ユーザーの意見をそのまま反映するのは難しい場合もあるので、ユーザーの希望と、実現性のバランスを取っていくことも大切にしています。

――これからやってみたいと思っていることはありますか。

自分でオリジナルのアプリを作って世の中に出したいです。誰もが当たり前に使っていると言えるような、使いやすいアプリを作りたい、という野望はずっと持っています。企画力があまりないことが私の弱点なのですが…いつかきっと実現させたいですね。

「働きやすさ」を重視する企業文化と休暇の取りやすさが強み

ONE COMPATHは、社員が働き続けやすい環境整備に力を入れている。中でも大きな特徴は、休暇の多さだろう。一般的な年次有給休暇、産休や育休などの他に、有給で取得できるさまざまな休暇制度が用意されている。その取り組みについて、経営戦略室 人事チーム リーダー キャリアコンサルタントの大橋理恵氏に話を伺った。

例えば、年次有給休暇とは別に自分の病気や怪我、通院等で使用できる「私傷病休暇」、子どもの病気対応などに使える「看護休暇」、介護での通院、送迎で使える「介護休暇」があるという。また年1日、5000円の費用補助付きの「おでかけ休暇」というユニークな休暇制度もある。夏季休暇の代わりに、年5日の「リフレッシュ休暇」を設けていて、混雑する夏季以外に取得するケースが多いという。

多くの休暇制度があっても、実際に使えるのか、使いやすい雰囲気なのか、は重要なポイントだ。同社の場合は、おでかけ休暇は100%、リフレッシュ休暇もほぼ100%の取得率。大橋氏は「当社は家族を大切にすることを応援する文化があり、突発的な休みも含めて、休暇を取ることに対して肯定的で、チーム全体でフォローしています。子育てや介護、自分の体調など、個々の状況に柔軟に対応できるため、男女問わず働きやすい会社です」と話す。

勤務はフレックスタイム制(コアタイムは10時~15時)で、子育てをしながらでも働きやすい。看護休暇や育休は、もちろん男性も取得しており、子育てを応援してくれる文化が根づいている。

2019年4月に新たに誕生したONE COMPATH。現在約120名の社員が在籍しており、うち女性は約35%である。しかし女性役職者は、まだ数人に留まっているという。「近年女性社員は増加していますし、優秀な方も多いです。基本は本人の希望次第ですが、女性の役職者、役員もどんどん輩出していきたいと考えています」と大橋氏。実現に向けたマネージメント研修等も、今まさに計画しているところだ。

一方、昨今の厳しい採用事情のなか、企業のブランディングと併せて、採用ブランディングも進めたいとの考えも持っている。「旧マピオンが凸版印刷のShufoo!事業を承継する形で1つになりました。会社にはそれぞれ特色があり、風土や考え方の違いはあると思いますが、当社にはいろいろな考えや違いが認められる文化があります。当然、意見がぶつかることもありますが、だからこそシナジー効果も生まれているのだと思います」(大橋氏)。

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ONE COMPATH



ライタープロフィール
杉本 恭子
幼児教育を学んだ後、人形劇団付属の養成所に入所。「表現する」「伝える」「構成する」ことを学ぶ。その後、コンピュータソフトウェアのプログラマ、テクニカルサポートを経て、外資系企業のマーケティング部に在籍。退職後、フリーランスとして、中小企業のマーケティング支援や業務プロセス改善支援に従事。現在、マーケティングや支援活動の経験を生かして、インタビュー、ライティング、企画などを中心に活動。心理カウンセラー。


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