地磁気逆転で世界破滅の心配はない?――2万2000年以上かかり、対応に十分な時間があると米教授が分析

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方位磁針のN極は北を指し、S極は南を指す。地球に磁場があるから起きることだが、この常識は過去360万年の間に11回は“引っ繰り返った”と考えられている。「地磁気逆転」と呼ばれる現象だが、この現象については、古代の溶岩流などを調べることで理解が深まってきた。

今回、古代の溶岩流などの新しい研究によって、地球の最後の地磁気逆転はこれまで推定されていたよりもはるかに長い時間をかけて逆転した可能性があると示された。米ウィスコンシン大学マディソン校のBrad Singer教授らによるもので、2019年8月7日にScience Advances誌に掲載された。

最後の地磁気逆転は、旧石器時代である約77~78万年前に起こった。しかし、次の反転がいつ起き得るかを含め、地磁気逆転がなぜ、どのように起きているのか、ほとんど理解が進んでいない状況だ。

今回の研究でSinger教授らは、最後の地磁気が2万2000年以上をかけて逆転したと指摘。これまでには、地磁気逆転が100年以内に完了したと主張する研究もあったが、Singer教授らの研究はそうした先行研究に疑問を投げ掛けた格好だ。

Singer教授らは、最新の測定技術を用いて、世界各地の溶岩流や海洋堆積物、南極の氷床コアを調査した。溶岩流については、チリやタヒチ、ハワイなどの7カ所からサンプルを取得。最後の地磁気逆転が起きた前後、7万年の磁気と放射性同位体の変化を調べた。Singer教授の研究室は、岩石に含まれるカリウムの放射性崩壊から生まれるアルゴンを計測することで溶岩流の年代を推定する手法を開発。従来よりも高い精度で年代を推定できるようになったという。

その結果、最終的な地磁気逆転は4000年以内に完了したが、それに先立つ1万8000年の間に、一時的・部分的な地磁気逆転が2回起きていたと主張している。

地磁気逆転が起きることで、ナビゲーションシステムや通信機能などに深刻な影響が起きるかもしれないと懸念する向きもある。しかし次の地磁気逆転は、差し迫ったものではなさそうだ。Singer教授らの研究では、地磁気が不安定になっても、数世代にわたって変化に対応していく時間が取れるのではないかと考察している。

関連リンク

Earth’s last magnetic field reversal took far longer than once thought
Q10.地磁気のN極とS極が逆転するって本当ですか?|気象庁 地磁気観測所

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