デジタル画像の画像品質値を人間の主観と同等の精度で評価し出力する自動画像品質評価システムを開発 埼玉大学

埼玉大学は2019年8月30日、デジタル画像の画像品質値を、人間の主観と同等の精度で評価し出力する自動画像品質評価システムを開発したと発表した。静止画だけでなく動画や音声の品質評価へ適用できる可能性もあり、画像検査用途や車載カメラ、ロボットビジョンなどへの適用が期待できるとしている。

これまでの画像品質評価では、多くの人間が主観的に評価した結果を統計的に処理して数値化しており、その作業には多くの工程が必要だった。今回、同大学の研究室のメンバーは、ニューラルネットワークを用いて人間の主観と同等の画像品質評価を即座に出力するアルゴリズムを開発した。コンピューター上で評価したい画像ファイルを指定し、ボタンをクリックすると、開発したアルゴリズムにより出力した画像品質値が表示される。

このアルゴリズムは人間の主観と同等の画像品質評価を即座に出力できるほか、影や照明などによる光の影響や、ノイズ、量子化した際の劣化、ボケ、圧縮など24種類の画像品質の劣化リストを作成し、劣化要因を識別できる。既存の画像品質評価手法としては「ピーク信号対雑音比(PSNR)」などが知られているが、PSNRがPLCC、SROCCという人間の主観値との整合性において0.639だったのに対し、今回の手法ではPLCCが0.981、SROCCが0.977と、人間の主観値と非常に近い値が出力された(1に近いほど整合性が高い)。

今回開発した技術は、画像検査時に光の影響がどの程度あるかの定量評価や要因解析、医療画像など画像の高品質性が求められる用途、インフラ定期検査などを画像で行った際に撮影した画像に問題がないかなどのモニタリング用途が考えられるという。さらには大量の画像データを扱う場合に、画像品質が良い画像のみを絞り込むという用途も考えられるといい、動画に適用した場合には、屋外における車載カメラへの実装やロボットにカメラを取り付ける場合など、撮影環境が動的に変わるケースにも適用可能性があるとしている。

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