女性と男性で研究費の配分に格差、エネルギー研究分野における課題が浮き彫りに

英エクセター大学のエネルギー政策研究チームが、エネルギー研究分野におけるジェンダーバランスに関する調査報告を発表した。依然として、女性は過小評価されており、研究費の配分には男女差が見られ、途中でキャリアをあきらめる場合もあるという。報告書では大学と出資者に対して、ジェンダーバランスを改善するための指針も提示している。

この調査は、英国エネルギー研究センター(UKERC)によって委託されたもので、英国工学・物理科学研究会議(EPSRC)の資金提供を受けている。研究チームは、さまざまな分野、機関、そしてキャリアステージでエネルギーについて研究を行っている59名の女性研究者を対象に聞き取り調査を実施した。また、性別とエネルギー研究資金に関するデータの分析も行った。

聞き取り調査の結果、パートタイム勤務や産休の影響のほか、男性研究員に偏った資金提供など、女性研究員のキャリアアップの妨げとなる問題が浮き彫りになった。さらに、博士課程の女子学生の数に比べて、助成金を受けている女性研究員の数が非常に少ない、つまり、初期の段階で将来性のある才能をかなり失っているということも明らかとなった。

この結果を受けて、報告書では大学と出資者に対して以下の4つを提案している。

・データを調べること
ジェンダーバランスに関する定量的かつ定性的なデータを開示し、目標を設定し、進捗を管理し、毎年更新すること。女性研究員と対話を続けて問題点を把握し、研究費の調達プロセスにおけるジェンダーバランスを改善し続けることを示唆している。

・より多くの女性に出資すること
パートタイム勤務や産休の評価を標準化する必要性を示している。また、現行の資金調達法に多様性がないことを指摘し、キャリアの浅い研究員に対する資金提供やサポートに取り組む必要性を説いている。

・女性研究員のキャリアアップを促進すること
学問の世界における構造や文化を見直す必要がある。女性研究員の認知度を高め、女性の進出を促進するために、適切なトレーニング、指導、支援ネットワークを構築することを推奨している。

・機能しているものをベースに構築すること
ターゲットを絞った資金提供と長期的な構造改革とを組み合わせることを推奨している。女性研究者の意見がもっと耳を傾けてもらえるよう、発言権の平等を確保する必要性を挙げている。

研究チームは、この結果に基づいてジェンダーバランスの研究がさらに進むことを期待している。折りしも英国政府が2050年までに温暖化ガス排出ゼロを目指すと発表していることに触れ、迅速に脱炭素エネルギーシステムの推進に取り組むためには、人的リソースを全て投入する必要があることは明らかだとしている。

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“Power shift” needed to improve gender balance in energy research, report says

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