12%の高効率を実現――フラーレンを使わない有機薄膜太陽電池「NF-OFC」を開発

ペロブスカイト太陽電池とともに、次世代の太陽電池として注目される有機太陽電池。製造コストが安く、フレキシブルで設置が容易など多くのメリットがある反面、変換効率の低さが課題となっている。

注目される有機太陽電池(OFC:Organic Solar Cell)においては、その電子受容体としてフラーレン(炭素原子のみでサッカーボールのように構成される分子)を利用するものが主流だが、韓国の蔚山(ウルサン)科学技術大学校(UNIST)の研究チームは、フラーレンと異なる電子受容体(IDIC)を使った有機太陽電池で、12.01%の効率を達成した。研究成果は『Energy & Environmental Science(EES)』誌2018年6月22日号に掲載されている。

論文の筆頭著者で同学エネルギー化学工学部のSang Myeon Lee 博士は、フラーレンを使用する有機太陽電池の課題として、薄い活性層における非効率的な光吸収のために、電子の移動のみを利用ため効率が低いという。今回開発したフラーレンを使わない新しい有機太陽電池「NF-OFC」では電子と正孔の両方を利用できるため、12.01%という高い効率を実現したとしている。

また、研究チームのChangduk Yang 教授によれば、従来の光活性層はかなり薄い(100nm)ため、面積の大きい印刷プロセスでは製造できなかったが、新しい光活性層は最大300nmの厚さでも効率が維持されているという。そして引き続き、この高効率なNF-OCSの大量生産に向けた研究を継続すると、今後の展望を語っている。

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Introducing high-performance non-fullerene organic solar cells

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