東北大学は2024年9月20日、水素火炎からの発光でアンモニアの燃焼効率が大幅に向上することを発見したと発表した。
二酸化炭素(CO2)排出量削減のため、燃焼させてもCO2が発生しないアンモニアが注目されているが、実用化にはアンモニアの低燃焼性が課題となっている。研究グループは、今回の成果を応用すれば、アンモニア燃焼器の性能向上と社会実装への貢献が期待できるとしている。研究成果は同月12日、学術誌『Fuel Communications』にオンライン掲載された。
研究グループは、加熱した石英管にアンモニアと空気の予混合気を流して石英管の出口で極微小量のガスサンプリングを行い、加熱場を経た後に残留しているアンモニアの濃度を質量分析器で計測した。石英管の加熱源には、水素バーナーと電気ヒーターを用い、同じ温度分布を石英管内に形成し、結果を比較した。
その結果、熱的には同条件にもかかわらず、水素バーナーで加熱したときのほうが、電気ヒーターで加熱したときよりも、アンモニアが消費されるときの温度が100K以上低下した。このような差異は都市ガスの主成分であるメタンでは確認されなかった。
さらに分析した結果、水素バーナーを用いた場合のアンモニアの燃焼性の向上は、水素バーナーから生じた微弱な深紫外光(波長200nm付近)が石英管を透過し、深紫外光によってアンモニアが励起されることで引き起こされることがわかった。励起したアンモニアは活性なラジカル(NH2とH)に分解され、活性なラジカルが燃焼反応を促進していた。つまり、光によってアンモニアを分解する光化学反応と燃焼化学反応が連成する現象が起きていた。
研究グループは、今回の結果を基に、深紫外光が照射可能な電気デバイスを用いることで、新たなアンモニアの燃焼支援手法の開発につながる可能性があるとしている。
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