- 2017-9-29
- 化学・素材系, 技術ニュース
- ARマーカー, プロジェクションマッピング, 再帰性反射材, 群馬大学, 食べられるARマーカー, 食べられる再帰性反射材
群馬大学理工学部の奥寛雅准教授らは2017年9月28日、「食べられる拡張現実(AR)マーカー」を開発したと発表した。同ARマーカーをケーキ表面に設置して文字の投影を行ったところ、ケーキを移動・回転させても常にケーキ表面に文字を投影できたとしており、今後はテーマパークや結婚披露宴などでの高度な演出に貢献するとしている。
近年、物体に映像を投影するプロジェクションマッピングが注目を集めており、この効果を料理の演出に活かしたレストランや結婚式場も登場している。しかし、従来のプロジェクションマッピングは、形状や配置が厳密に分かる建物やスクリーンへの投影を前提としており、料理のように形や配置を厳密に決めにくい対象への映像投影は難しかった。
同研究室は、これまで食品を素材とした光学素子を研究・開発しており、その一環として寒天を素材とした「食べられる再帰性反射材」を開発してきた。同素子を料理の上に配置すれば、位置を計測するマーカーとして機能することも実証していた。しかし、従来のマーカーでは画像内での対象の位置のみが分かり、対象の向きや傾きなどの姿勢までは計測できなかった。
そこで今回、同研究室は既存の食べられる再帰性反射材を素材として、三次元的な位置と姿勢を全て計測できる食べられるARマーカーを開発した。対象の位置・姿勢が分かるマーカーとしては、平面に四角い枠に囲まれた図形を描いた物を利用するARマーカーが用いられることが多い。今回の実験では、正方形状の食べられる再帰性反射材の一部を、提示したい図形に切断したスライスチョコレートで隠した。このチョコレートが光を遮ることで、結果的に黒い図形が白地に浮かび上がり、ARマーカーとしてカメラから観察できるという。