日本触媒は2019年9月17日、NHKと共同で、極薄のiOLEDフィルム光源をさらに長寿命化できる新たな電子注入技術を開発したと発表した。
iOLEDフィルム光源は、日本触媒がNHKと共同開発している、極薄かつ高い柔軟性をもつ光源だ。大気中の酸素や水分に強く安定性の高い有機EL材料や素子技術(iOLED技術)により実現した。
iOLEDフィルム光源のさらなる長寿命化のためには、一定の酸素や水分が存在する中で、高い効率で電子注入を長期間維持する必要がある。しかし、電子輸送層に電子注入機能を付与するためのアルカリ金属は大気安定性に乏しく、長寿命化の主な阻害要因となっていた。
今回、従来のアルカリ金属に代わる、有機塩基性材料を添加した分極型の有機EL用材料を開発。この材料は、大気安定性、電子注入性とも高く、酸素や水分を透過しやすいフィルム上に有機ELを形成しても高い電子注入性を長期間維持する。
また、有機塩基性材料を添加することで水素結合が形成されるが、これにより生じる分極が電子注入に重要な役割を果たしていることを発見。日本触媒によると同現象の発見は世界初だという。
今後、この技術をiOLEDフィルム光源に適用することで、発光色の精密な制御や長寿命かつ極薄膜素子の実現などiOLEDフィルム光源の高機能化や、プロセスの簡略化によるコスト削減などが期待できるという。