自動運転のためのセンシング技術を学ぶ――おすすめものづくりセミナー情報

本記事では、19の技術および生産系主催企業・団体と提携して1500件以上の技術および生産系セミナーを案内している「ものづくりセミナーサーチ」から、嶋村良太技術士が“旬”のテーマをピックアップしてお届けします。

今月のキーテクノロジー「自動運転のためのセンシング技術」

自動車産業は「電動化」と「自動運転化」という2つの大きな波により、変革期を迎えているといわれています。中でも自動運転化はユーザー・社会から見た自動車の価値を一変させる「破壊的イノベーション」であり、交通事故の飛躍的低減はもとより、交通渋滞の緩和、物流業界の人手不足対策、高齢化社会におけるモビリティ確保などの手段としても、大きな期待が寄せられています。

自動運転はレベル0「運転自動化なし」からレベル5「完全自動運転」まで6段階に定義されていますが、政府は2020年までに高速道路でのレベル3(特定の場所でシステムが全てを操作、緊急時はドライバーが操作)を、さらに2025年までには高速道路でのレベル4(特定の場所でシステムが全てを操作)を実現することを目指しており、そのための法制度や基準・ガイドラインなどの整備、開発支援などの施策を進めています。

さて、この自動運転化の中で人間の五感に代わる役割を果たすのがセンシング技術です。単眼または複眼のカメラやLiDAR(レーザーレーダー)、ミリ波レーダー、超音波レーダーなどの各種レーダーによる周辺状況検知、GPSセンサによる位置検知、加速度センサ・ジャイロセンサによる走行状態検知など、さまざまなセンシング技術の開発が進められています。

これら個別のセンシング技術にはそれぞれの用途や得手不得手があります。そこで複数のセンサを組み合わせてシステムを構成することで相互補完し、より高い安全性を実現しようとするのがセンサフュージョン技術です。

今回おすすめするセミナーも、それぞれのセンシング技術に特化したもの、センサフュージョンをはじめ、システム構成に関するものなど、多数開催されています。自動運転技術の問題に直面している方、また参入を考えている企業の方は、ぜひ以下に紹介するセミナーに参加して情報を入手・整理し、対応策検討の一助としてください。

【『自動運転のためのセンシング技術』分野のおすすめセミナー】

『自動運転における自己位置推定の高度化と技術動向』
2019年10月18日、11月29日 東京開催
自己位置推定の基本から、現状なぜ自己位置推定が達成できているのか、マルチレイヤーLiDARの必要性、動的環境下での頑健な自己位置推定の研究成果まで分かりやすく解説。
https://www.monodukuri.com/seminars/detail/6621(10月18日)
https://www.monodukuri.com/seminars/detail/9963(11月29日)
※同講師・同テーマのセミナーですが、主催者が異なるため受講料が異なります。

『車載用遠赤外線カメラシステムの技術的課題、及び開発動向について』
2019年10月23日 東京開催
光源に左右されずに物体認識ができる唯一のセンシングデバイス・遠赤外線カメラについて、基本原理から認識システム開発の課題・効果まで、実機デモ、開発実例を含め紹介。
https://www.monodukuri.com/seminars/detail/9463

『LiDARの最前線セミナー』
2019年10月30日 東京開催
LiDAR技術の位置づけと展望、自動運転技術適用の現実と課題、要素技術のレーザ技術、普及のキーテクノロジーであるソリッドステートLiDARについて4人の専門家が解説。
https://www.monodukuri.com/seminars/detail/7402

『自動運転、コネクテッドカーの先端技術動向、システム比較、実証試験例』
2019年10月30日 東京開催
自動運転の分類とシステム比較、自動運転を実現するためのセンサ、人工知能、通信などの技術、コネクテッドカーやEVと自動運転技術の関係など、実証実験例を交え解説。
https://www.monodukuri.com/seminars/detail/10047

『ミリ波の最新技術・開発動向と今後 ~5G等の無線通信応用と回路・パッケージ・基板技術』
2019年11月8日 東京開催
ミリ波レーダー・5G等の応用をふまえ、ミリ波システムでどのような技術が使われ、基板材料や回路技術でいかに低コストを実現するか、今後求められる方向性を示す。
https://www.monodukuri.com/seminars/detail/3438

『イメージセンサ・カメラの自動運転、IoT端末に向けた市場、業界、技術展望』
2019年11月13日、11月28日 東京開催
ADASの普及に伴い車載カメラは急激に市場規模を拡大している。IoT社会に向けた自動車の業界動向、車載用イメージセンサ・カメラの市場・業界・技術動向について解説。
https://www.monodukuri.com/seminars/detail/5955(11月13日)
https://www.monodukuri.com/seminars/detail/8330(11月28日)
※同講師・同テーマのセミナーですが、主催者と講義時間が異なるため受講料が異なります。

本情報は記事執筆時点での情報です。定員に達したため参加できない場合もございますので、ご注意ください。

「完全自動運転」実現への道のりと期待

先日、自動車メーカーで長年設計業務を担当している友人とじっくり話す機会があり、自動車とモビリティの現在と未来について、最前線からの意見を聞くことができました。レベル4以上の自動運転については、センサや車輌制御の技術はもとより、それらシステムの冗長性を確保するためのコスト、そして事故発生時の責任に関わる法整備と社会的合意形成など、まだまだ困難な課題が数多くあり、特にレベル5の完全自動運転(場所の限定なくシステムが全てを操作)の実現はかなり先になるのではないか?という見解でした。

友人をはじめ、多くのエンジニアの取り組みが実り、自動車の安全性と社会的価値が飛躍的に向上するのを楽しみにしていると伝えました。

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ライタープロフィール
嶋村良太
技術士(機械部門、総合技術監理部門)
1988年東北大学工学部、1992年武蔵野美術短大通信教育部を卒業、2007年首都大学東京大学院都市科学研究科博士前期課程を修了。自動車メーカー、バリアフリー機器メーカー、鉄道車輌メーカーで商品企画、開発管理、工業デザイン、設計などものづくりの計画に関わる業務を担当し、特に商品開発プロセスとバリアフリー・ユニバーサルデザインについて広い角度から取り組んできた数少ない技術士。


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