横浜市立大学は2019年10月1日、東洋大学との共同研究の結果、天然物である植物の種を加熱分解処理するだけで蛍光性炭素量子ドット(CQD)の合成に成功したと発表した。
合成方法は、植物の種を500℃で3時間加熱分解するのみ。得られたCQDは平均直径4nm。均一で結晶性が高く、電子顕微鏡を使って格子縞を明確に観察できた。水溶液中で紫外線照射下においても波長420nmの強い青色発光を示し、耐褪色性も極めて優れていることが分かった。
さらにCQDは均一で安定なマイナスの電荷を帯び、官能基に表面を覆われたコアシェル構造を持つと研究チームは推測。構造上の特徴から、水溶液中で1年以上にわたって高分散性と強い発光特性が維持され、安定性が極めて高いと判明した。
炭素量子ドットの発光メカニズムとしては、分子発光や、窒素や酸素の吸着による表面準位との関連などが考えられている。研究チームは今回の研究を通じて、発光の励起波長依存性やpH依存性などのデータを機械学習で分析。発光メカニズムの解明に向けて新たなアプローチも提案した。
今後は実用化に向けて、発光効率の向上や薄膜化などを進める計画。青色LEDなどの電子デバイスの作製やバイオイメージングなどへの応用を目指す考えを示している。