有機太陽電池の電圧損失の抑制に成功――高効率無機太陽電池と同等の20%を超える高い光電変換効率が可能 分子科学研究所

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(a)材料に用いた有機半導体材料の分子構造(b)太陽電池の電流電圧曲線

分子科学研究所は2019年10月16日、有機太陽電池の電圧損失を高効率無機太陽電池と同水準まで抑制することに成功したと発表した。

有機太陽電池は、無機太陽電池と比べて安価かつ軽量な上、柔軟などの性質を有する。さらに、有害元素を用いずに作製できるため、次世代のエネルギー変換デバイスとして注目されている。しかし現状、有機太陽電池の光電変換効率は最高で16%程度にとどまり、高効率無機太陽電池のGaAsの28%には及んでいない。そして、その最大の原因は、吸収した光のエネルギーと得られる電圧値との差、つまり電圧損失が大きいことだ。

有機太陽電池の発電過程とエネルギー損失の内訳(eVOCは開放端電圧)

そこで、研究グループは今回、発電材料に高い結晶性、高い電荷移動度を持つ秩序性の高い分子を使用。主要な電圧損失プロセスである電荷再結合を抑制し、これまでの有機太陽電池で約0.5V以上であった再結合損失を0.26Vまで減少させることに成功した。それにより、電流を流さない状態の電圧値である開放端電圧値が向上し、1Vもの高い値を実現した。さらに、開放端電圧を向上させるためには、発電が起こるドナー/アクセプター界面の結晶性が重要であることを発見。その領域は、薄さにして数nm以下、分子数にして3分子層以下だという。

(a)ドナー/アクセプター界面近傍の模式図(b)有効バンドギャップと開放端電圧の関係

研究グループは、この成果から、有機太陽電池でも高効率無機太陽電池と同等の20%超の高い光電変換効率が実現可能であると説明。さらに、有機太陽電池の利点を活かしたデバイス開発が進めば、将来には有機物が太陽電池の主役になると述べている。

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