新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2019年12月25日、SUBARU、日本無線、日本アビオニクス、三菱電機、自律制御システム研究所と協力し、12月16〜24日にかけて三河湾海上で、無人航空機が緊急時でも自律的に危険を回避できる技術を実証する飛行試験を実施したと発表した。
無人航空機の「目視外飛行」や「第三者上空飛行」においては、これまで、無人航空機の故障の発生や燃料残量の減少、急な雨雲の接近などの緊急時には、緊急着陸地点やそこまでの経路の情報を、ドローン運航管理システムなどによって地上から指示する必要があった。
しかし、離島間物流のように、地上と無人航空機間の通信インフラが十分に整備されておらず、地上からの支援が受けられない状況下では、無人航空機がさまざまな緊急事態へ自律的に対応できる技術(自律的ダイナミック・リルーティング技術)が不可欠だ。
そこで今回の試験では、1)故障や燃料残量が減少した時の自律的経路変更機能、2)悪天候時の自律的経路変更機能、3)準天頂衛星システムの高精度測位情報を用いて変更した経路を飛行する機能といった、自律的ダイナミック・リルーティング技術が持つ3つの機能を検証した。
具体的には、準天頂衛星システムからの信号を受信する測位受信機を搭載した中型の無人航空機が、故障模擬信号や燃料警告模擬信号、悪天候模擬情報に基づき自律的に経路を変更し、準天頂衛星システムを利用した高精度測位情報を用いて飛行できるかについて検証したという。
その結果、故障や燃料残量の減少のほか、悪天候の情報がある場合に、事前にプログラムされた飛行経路から自律的に経路を変更し、準天頂衛星システムを利用した高精度測位情報を用い、事前に設定された緊急着陸地点まで飛行することが確認された。
NEDOは、離島間物流のように、地上と無人航空機間の通信インフラが十分に整備されておらず、緊急時の回避経路の指示などの地上からの支援が受けられない状況下でも、本技術により、無人航空機を安全に運用できるようになるとしている。