- 2021-7-29
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- SE Aeronautics, SE200, Tyler Mathews, バレル, モノコック構造, ワイドボディ旅客機, 座席キロ(総席数×飛行距離)
航空機産業において、ワイドボディ旅客機の設計は過去数十年にわたり大きく変わることはなかったが、これに大きな変革をもたらすかもしれない革新的航空機デザインが、アメリカの「SE Aeronautics」から発表されている。
SE Aeronauticsの「SE200」は3対の翼を持つ座席数264の旅客機。全長140フィート(43メートル)、翼幅116フィート(35メートル)で、最高速度はマッハ0.90(時速1100km)、航続距離は1万500マイル(1万6900km)だ。
SE200の大きな特徴は、その独特な形状によってもたらされる極めて高いエネルギー効率だ。SE200では燃料タンクは翼から胴体上部に移され、翼をより薄くすることにより揚力比を高めることができたという。SE Aeronauticsは、SE200の燃料消費は同程度のサイズの旅客機に比べ70%少なく、座席キロ(総席数×飛行距離)あたりの二酸化炭素発生量を80%〜90%削減できるとしている。また、SE200の輸送エネルギー効率を示す燃料1ガロンあたりの旅客マイル数(PMPG)は500以上になるという。PMPGは、Boeing 747-400でも90~100程度とされている。
胴体についても、航空機製造の慣例と異なるモノコック構造になっている。航空機メーカーは通常、生産を最適化するために「バレル」と呼ばれる大きなセクションをボルトで固定しているが、SEは一体型の頑丈な複合素材の胴体とし、機体の耐用年数は50年になるという。
SE AeronauticsのCEO Tyler Mathews氏は、「SE200には合計推力6万4000ポンドのリアエンジン2基も搭載されるが、最も素晴らしいのは燃料消費70%減を実現するSE Aeronauticsの能力だ」と述べている。