- 2020-1-12
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- ITMO大学, Nature Photonics, Wi-Fiルーター, オプトエレクトロニクスチップ, スマートフォン, トポロジカル・フォトニック・メタマテリアル, ニューヨーク市立大学, フォトニック結晶, メタマテリアル, 人工フォトニック材料
人工フォトニック材料に光をトラップする新しいアプローチが見出された。この研究は、ニューヨーク市立大学が、ロシアのITMO大学などと共同で行ったもので、研究成果は2019年12月9日付で『Nature Photonics』に掲載されている。
フォトニック結晶とは、光の波長程度の屈折率周期構造をもつ人工光学材料だ。また、構造の周期が光の波長よりも充分に小さく、有効媒質と見なせるものはメタマテリアルと呼ばれる。こうした周期的配列を備えた人工材料は、例えば負の屈折率を示すなど、従来の材料では困難だったさまざまな光制御技術や特異な光学現象などを可能にするものとして、近年注目を集めている。
今回の研究の狙いは、光がフォトニック結晶内を通過する際に起こる散乱を、物質の表面だけに特別な性質が現れるトポロジカル特性を持たせることで、散乱することなく光の透過を制御することができ、光による効率のよい情報伝播を可能とするものだ。マテリアル内の長距離相互作用が光波の挙動を変化させ、局在化させられることが分かった。さらに、相互作用の強さを制御することで、光波が閉じ込められるか伝搬するのか、つまり光波のトラップ特性と伝搬特性を切り替えることができることも示された。
今回のトポロジカル・フォトニック・メタマテリアルによって光をトラップする新しいアプローチにより、新しいタイプの光共振器の設計が可能になり、日常的に使用されるデバイスに大きな影響を与える可能性がある。スマートフォンやWi-Fiルーターのアンテナから、超高速インターネット通信を実現するオプトエレクトロニクスチップの開発につながるものだという。