- 2020-1-14
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- AI, EV, IBM Research, スマートパワーグリッド, バッテリー, バッテリー・ラボ, リチウムイオン電池, 機械学習, 電動飛行機
IBM Researchのバッテリー・ラボは、従来のリチウムイオン電池の性能を上回る新型バッテリーを開発したことを明らかにした。原材料を海水から抽出するため低コストで自然にも優しく、EVや電動飛行機向けのバッテリーとして期待できるという。
新型バッテリーには、AIや機械学習によって見つけ出した3種類の素材を使用しているという。同社は今のところ具体的な成分組成を明らかにしていないが、これまでバッテリーに使われたことがないもので、海水から抽出可能なものだとしている。さらにニッケルやコバルトといった重金属を含まないため、環境や人体にも優しく、サスティナブルで低コストに製造ができる。
同社の初期テストでは、コストだけでなく、充電速度、出力密度、エネルギー密度、低引火性、といった多くの項目で優れた性能を発揮した。特に、高出力用バッテリーを5分で80%充電できるといい、短時間で充電できる低コストEVの実現にも貢献できる可能性がある。
出力密度は1万W/L以上、エネルギー密度は800Wh/L以上と、従来のリチウムイオン電池を上回る性能を示し、エネルギー効率も90%と高い。また、重金属を含まないカソード材と引火点の高い安全な液体電解質を組み合わせることで、充電中のリチウム金属の析出(デンドライト)を抑制し、ショートによる発火の危険性を低減させている。
この新型バッテリーは、EVはもちろんのこと、高い出力密度を必要とする電動飛行機や、長期安定性を必要とするスマートパワーグリッドなど、新しいエネルギーインフラへの利用も期待できる。
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