金属ガラスに高圧熱処理を施した試料が優れた機械的特性を持つことを発見 東北大学とNIMS

東北大学学際科学フロンティア研究所 教授の才田淳治氏らは2020年1月15日、物質・材料研究機構(NIMS)との共同研究にて、金属ガラスに高圧熱処理を施した試料が超高密度状態にあり、優れた機械的特性を有することを発見したと発表した。今後、従来にない特異な構造、状態が解明される可能性が期待される。

ランダム構造を有する材料である金属ガラスは、その状態数がほぼ無限大だと考えられる。しかし、従来の常圧での熱処理を通じた制御手法は、容易に結晶化が生じてしまうため、これまで観測されてきた状態は全状態数のほんの一部と考えられる。

そこで、高圧を負荷することで結晶化を遅延させ、熱処理後の急冷を通じてその状態を室温で凍結することで、これまでにない大幅な構造改変が達成された新規のガラスが創製できるのではないかと考え、試料をバルクとして回収。その特性評価、状態解明を試みた。

今回の研究では、高圧熱処理をZr50Cu40Al10金属ガラスに施し、回収したバルク試料の諸特性評価を実施。その結果、試料内部に超高密度のアモルファス状態が形成されていることが明らかになった。形成された試料の密度は、金属ガラス内に微細な結晶が部分的に析出した試料よりも依然高かった。また、優れた機械的特性を有していたという。

内部組織観察にX線、高分解能透過型電子顕微鏡観察、特性評価に熱分析、密度測定、電気抵抗測定、破壊試験を実施し、それらを通じて「未見のガラス」の創製が予見された。今後、形成された試料のガラス状態やランダム構造を詳細に評価することで、内部に未観測の特異な状態が形成されている可能性が考えられ、ランダム構造の極限状態の解明や材料設計の可能性の拡大が期待される。

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