廃熱を電気エネルギーに変換する高効率熱電材料を開発

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極めて高い熱電変換性能を有するペレット状の高純度セレン化スズ。 /Image: Northwestern University

米国ノースウェスタン大学と韓国ソウル大学の共同研究チームが、温度差を起電力に変換する熱電効果の高い多結晶セレン化スズを製造する技術を開発した。高純度化によって有害な表面酸化物を除去することに成功し、これまでに報告されていた単結晶セレン化スズを超える変換効率を実現した。発電所や自動車などの産業分野で放出される廃熱を、電力に変換する実用性の高い省エネルギーデバイスへの応用も可能で、研究成果が2021年8月2日の『Nature Materials』誌に論文公開されている。

ある物質の両端に温度差を与えると、その両端間に起電力が生じる「ゼーベック効果」は古くから知られている。高い熱電変換効率を持つ材料としてビスマス・テルル金属間化合物やホイスラー合金Fe2VAlなど多くの材料が研究されている。また、工場プロセスでの排熱や自動車からの排ガスを利用した熱電発電の実証研究も進められている。

熱電変換の効率は「熱電変換性能指数(ZT)」で評価されるが、これらの実証研究における中期的目標として、しばしばZT=2が掲げられている。その中で2014年に、ノースウェスタン大学の研究チームが、優れた変換効率を有するセレン化スズ単結晶を見出し大きな注目を集めた。

ZTは電気伝導率が高いほど、また熱伝導率が低いほど高くなるが、セレン化スズは熱伝導率が極めて低い一方、良好な電気伝導率を維持することから、640℃において約2.6というこれまでで最も優れたZTを示した。ところが、セレン化スズ単結晶は脆くて剥離しやすいという欠点があり、熱電変換デバイスとしての実用化には多くの問題があった。

そこで研究チームは、強靭かつ切断可能で様々な用途に向けて成形が可能であるセレン化スズ多結晶の研究を実施した。ところが意外にも多結晶材料の熱伝導率は高く、単結晶のようなZTは得られなかった。その原因について詳細に調べたところ、材料表面に酸化スズ皮膜があり、熱がこの皮膜を流れることで熱伝導率が高くなることを発見した。

共同研究するソウル大学の研究チームは、この酸化スズ皮膜を排除する方法を考案し、高温溶融真空処理および水素アルゴン混合ガスによる還元処理による高純度化プロセスによって、酸素のないペレット状セレン化スズを製造できるようになった。熱電変換性能を調べた結果、熱伝導率は期待通りに低く、またZTは510℃において約3.1であり、単結晶を超えていることが明らかになった。

「この発見により、セレン化スズ多結晶のペレットから作成される新しい熱電発電デバイスへの道がひらけた」と、研究チームは語る。有望な応用分野として、自動車産業、石油精製、発電所、大きな燃焼機関が連続稼働している船舶やタンカーなどにおける廃熱利用の発電が期待される。

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