米ライス大、ごみを一瞬で貴重なグラフェンに変換する新手法を開発

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Photo by Jeff Fitlow

米ライス大学は、2020年1月27日、ほぼ全ての炭素源をフレーク状のグラフェン(グラフェンフレーク)に変える新しい処理プロセスを開発したと発表した。研究成果は、学術雑誌『Nature』に2020年1月27日付で発表されている。

開発された製法は「フラッシュプロセス」と名付けられ、他のグラフェン製法と比べて数分の1のコストで運用できるという。研究チームは、フラッシュプロセスにより生成されるグラフェンを「フラッシュグラフェン」と呼んでいる。

研究論文の筆頭筆者であるDuy Ruong氏は、金属ナノ粒子の相変化を起こす瞬間(フラッシュ)ジュール加熱に関する論文にヒントを得て、この処理プロセスで高品質のグラフェンを生成できることを発見したという。原子レベルのシミュレーションを行い、温度が重要な鍵であることを発見。フラッシュプロセスは、いわば、炭素(カーボン)が黒鉛(グラファイト)へと変化するゆっくりとした地質学的過程を瞬間的に急激に加熱することで加速させ、グラフェンの段階で停止する技術だ。

フラッシュプロセスでは炭素含有材料を3000ケルビン(約2700℃)に加熱。たった10ミリ秒でグラフェンフレークを生成した。 原材料は、炭素を含んでいれば何でもよいことから、食品ごみ、プラスチックごみ、石油コークス、石炭、木くず、バイオ炭などが主な候補になるとしている。

さらに、フラッシュプロセスでは特注設計のリアクターを使用。材料を素早く加熱し、非炭素元素は全てガスとして放出する。このプロセスを商用化する場合はリアクターから出る酸素や窒素は小分子として閉じ込めておけるそうだ。

ライス大学のJames Tour教授は「フラッシュプロセスはエネルギーのほぼ全てを対象物に注ぐので、余分な熱をほとんど出しません。数秒後には容器に指を置けます」と語る。フラッシュプロセスでは、従来のグラフェン製造法である化学気相成長法より約3倍もの高温になるが、熱は炭素材料に集中して、材料を囲んでいるリアクターは熱くならないからだという。

また、フラッシュプロセスでは、各層が溶液や複合材の中で分散しやすい乱層グラフェンを生成することにも注目が集まるだろう。乱層グラフェンをプラスチック、金属、合板、コンクリートなどと混ぜると強度が高まるので、グラフェンを混ぜた複合材の需要は高い。また、研究者らはドリップ後のコーヒーかすから純粋なグラフェン単層シートも作製しており、フラッシュプロセスとその生成物であるフラッシュグラフェンの商用価値は高そうだ。

Tour教授は、アメリカ産石炭を変換するプロジェクトに着手し、2年以内に1日当たり1kgのフラッシュグラフェンを製造できるようにしたいとしている。

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