二酸化炭素をコンクリートに変える――UCLAのエンジニアチームが優勝賞金2000万ドルの国際コンペティション「Carbon XPRIZE」にチャレンジ中

カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のエンジニアのチームが、温室効果ガスである二酸化炭素を商業的に価値の高い製品へと「アップサイクル」する技術を競う国際コンペティション「NRG COSIA Carbon XPRIZE」の決勝戦に進み、実証実験を始めている。UCLAのチーム「Carbon Upcycling UCLA」が目指すのは、二酸化炭素でコンクリートを製造するプロセスだ。

温室効果ガスによる地球温暖化の対策として、二酸化炭素の回収方法が研究されているが、スケールして実用化するためには、ビジネスとして採算がとれるという大きな命題がある。アメリカの再生可能エネルギー大手NRGとカナダのオイルサンド関連企業間協力組織COSIAが主催するCarbon XPRIZEは、二酸化炭素をいかに価値のある製品に変えられるのかを競う国際コンペティションだ。固定する二酸化炭素の量と生み出す製品の価値によって評価され、優勝賞金として2000万ドルが与えられる。

同チームの取り組みは、石炭火力発電所から排出される排気ガス中の二酸化炭素を、CaCO3などの固体の炭酸塩に変換、「CO2 Concrete」というプレハブコンクリートブロックへと作り変えるというものだ。

同チームによると、このプロセスによるメリットは二つある。第一に、石炭火力発電所から生じる二酸化炭素ガスを捕捉し、大気への排出を減らすこと。第二に、コンクリートの結合剤として使われるセメントの使用量を削減することだ。オランダ環境評価庁によると、セメントの生産によって発生する二酸化炭素は、総排出量の8%以上だという。そのため、CO2 Concreteのカーボンフットプリントは、現在の同等の建築材料よりも少なくとも50%低くなるという。

Carbon Upcycling UCLAは2020年春には、ワイオミング統合テストセンターに移動して、工業規模での実証実験を開始する。チームの目標は、30日間以上システムを運用し、毎日最大10tの製品を生産することだ。生産されたCO2 Concreteは、デモンストレーション建設プロジェクトで実際に使用される予定だ。

チームにとって、CO2 Concreteがより持続可能で環境に責任のある建設エコシステムの中心になることが理想だという。

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