日本精工(NSK)は2020年3月12日、大幅に駆動モータを高速化する電動車駆動モータ用高速回転玉軸受を開発したと発表した。電動車の燃費や電費の向上、航続距離の延長、快適性の向上に貢献する。
近年、モータ支持用の玉軸受はこれまで以上に高速回転性が要求されているが、高速で回転させると、発熱の影響による潤滑不良に起因する焼付きの発生と、遠心力の影響による保持器変形に起因する破損が起きることが課題となっていた。
今回、開発した電動車駆動モータ用高速回転玉軸受は、NSK独自開発のグリースと、新たに開発した樹脂保持器の効果により、dmN=140万(内径35mmの軸受で30000rpm)の高速回転に対応する。
独自開発のグリースは、耐焼付き性に優れており、使用することで発熱による潤滑不良を抑制し、従来品に比べ寿命を延長する。新形状保持器は、耐熱性と剛性に優れた樹脂材料を使用するとともに、保持器先端部を薄くして軽量化。遠心力の影響を低減するとともに、保持器根元部の剛性を高めているため、高速回転時の保持器変形を大幅に低減できる。
同社は2020年末に、さらなる高速回転対応軸受の発表を予定。そのdmNは160万に及ぶという。