軽量で高効率な「回転デトネーションエンジン」の数学モデルを構築

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NASA/Bill Ingalls/Flickr

ワシントン大学の研究チームは、「回転デトネーションエンジン(Rotating Detonation Engine:RDE)」と呼ばれる新しいタイプのエンジンの動作をハイスピードカメラで撮影し、エンジンのメカニズムを説明する数学モデルを開発した。デトネーション波と呼ばれる燃焼波を利用したRDEは従来のジェットエンジンよりも燃焼効率が良く、軽量で製造が容易になると期待されているが、分からない部分も多いため、今後の開発につながると期待される。研究結果は、2020年1月10日付けの『Physical Review E』に掲載された。

ロケットの打ち上げには、多くの燃料が必要だ。例えばNASAのスペースシャトルを軌道に乗せるためには、シロナガスクジラの15倍、350万ポンド以上の燃料を消費するという。RDEは、従来のジェットエンジンより燃焼効率が高いエンジンとして、開発が進められている。

RDEは、同軸のシリンダー構造で、推進剤はシリンダーの隙間を流れる。点火後は、デトネーション(爆発)という名の通り、急激な熱の発生が衝撃波を形成し、非常に高温高圧で強力なガスのパルスが音速よりも速いスピードで伝播して推力を生む。RDEは、燃焼効率が高いだけでなく、軽量でエンジン部品も簡略化できると予想されている。

しかし、「RDEの分野はまだ緒についたばかりだ」と、筆頭著者のJames Kochポスドク研究員は語る。RDEに関するデータはたくさんあるが、何が起こっているか理解できていないという。衝撃波が燃焼室を進むときに、自然に流れを圧縮するため、従来のエンジンよりは部品は少なくても良いが、それゆえに現段階では予測不可能なことが多く、実用化には至っていない。

研究チームはまず、シリンダー間のギャップサイズなどさまざまなパラメータを制御できるような実験用のRDEを開発した。次に、ハイスピードカメラで燃焼プロセスを撮影した。研究チームは、それぞれ0.5秒程度のテストを毎秒24万フレームで高速度記録し、その様子を再現するように数学的モデルを構築した。

最初の衝撃波の後、連続して燃焼パルスが発生し、高い推力が発生する。以前は、複数のパルスがどのように形成するか、それらパルスがなぜ1つになることがあるのか理解できなかったが、このモデルを使えば、その根底にある物理を説明できるという。研究チームはエンジンの安定/不安定性を決定したり、エンジンの性能も見積もることができた。

研究チームによれば、今回の目的は実験映像のモデル化のみであり、今後は定量化することで実際のエンジンの製造につなげたいということだ。

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