次世代型ウェアラブルデバイス向けに伸縮可能なスーパーキャパシターを開発

米デューク大学は、2020年3月19日、米ミシガン州立大学と共同で、次世代型ウェアラブルデバイス向けに伸縮可能なスーパーキャパシターを開発したと発表した。このスーパーキャパシターは、元のサイズから8倍の大きさに伸張された場合でも機能することが実証されたという。研究成果は、学術雑誌『Matter』に2020年3月19日付で発表されている。

ウルトラキャパシターとも呼ばれるスーパーキャパシターは二次電池(バッテリー)のようにエネルギーを蓄えるが、その方法や特性は二次電池とは異なる。

スーパーキャパシターは電荷分離によってエネルギーを蓄えるが、自身では電気をつくれないため、外部電源から充電する必要がある。充電中、電子はデバイスの片側に蓄積していき、反対側では電子は取り除かれた状態になるので、キャパシターの両端を接続すると電気が流れるという仕組みだ。

また、スーパーキャパシターは、短時間で急速にエネルギーを放出できる。充放電が迅速で、放充電サイクルの回数耐性も高いことから、カメラのフラッシュやステレオアンプなど瞬間的な高出力を必要とする利用に適するという。

完璧なアイテムのようなスーパーキャパシターであるが、回路基板上のコンポーネントのように、硬いがもろいという弱点がある。

そのため、研究者らは、伸縮性のあるスーパーキャパシターの作製に何年もかけて取り組んできた。

最初に、研究チームは、シリコンウエハー上で数百万のナノチューブ(直径15ナノメートル、高さ20〜30マイクロメートル)を並べてカーボンナノチューブ(CNT)フォレストに成長させ、CNTフォレストの上に金ナノ薄膜を薄く伸ばしてコーティングした。

金ナノ薄膜の層は一種の静電捕集器として機能し、先行研究で開発したデバイスよりも抵抗値が10分の1以下になるので、デバイスの放充電がより速くできるようになるという。

続いて、伸張された状態のエラストマー基板上に、金の層の面を下にしてCNTフォレストを移し、ゲルで満たした電極を緩めると基板は4分の1のサイズに収縮する。この際、金の層が基板に引っ張られてくしゃくしゃになる。小さな空間内での表面積を大幅に増やし、その結果、充電可能容量が増加するという。

そして、高密度になったCNTフォレストを、ナノチューブ表面で電子を捕捉できるゲル電解質で満たし、最後にこれらの電極を2枚張り合わせると、充電済みの伸縮可能なスーパーキャパシターが完成する。繰り返し伸張しても摩耗や裂け目は見られず、1万回に渡る放充電テストサイクル後でも、エネルギー性能は数%しか失われなかったという。

開発されたスーパーキャパシターは、ウェアラブル電子機器や生物医学装置など、電力に依存せず伸縮可能でフレキシブルな電子システムの一部として利用することが想定されているようだ。

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