光学設計とは?働く・転職する際に抑えておきたい仕事内容、必要な資格など徹底解説

光学の理論や技術を駆使して光学機器やシステムを設計する光学設計は、カメラ、望遠鏡、医療機器、照明など多岐にわたる機器で必要とされています。光学に関する基礎知識や技術を身につけて、実務経験や専門知識を磨くことが重要となる仕事です。

最新の技術動向などにも対応していくことが求められますので、転職する際には最新の情報を把握して、自己成長を続けることが成功するためのポイントとなります。転職を成功させるために、十分な準備をしましょう。

そもそも光学技術とは?

光学技術とは、光を活用した機器(光学機器)の開発/製造をする際の基礎となるものです。合成石英やコーティング技術などを使って、屈折率均質性、透過率の向上、色収差やレンズのサイズ/重量の軽減といった課題を解決するのにも光学技術が必要となります。

さらに、レンズや反射鏡などを組み合わせて作った光学系の機械的機構を高精度で制御して動かし、半導体露光装置などの光学性能を向上させることもあります。

光学技術を活かした仕事

光学技術は、デジタルカメラ、望遠鏡、顕微鏡などの光学機器の製造において重要な役割を果たすため、レンズを設計するなどの分かりやすい職種以外にも、光学技術を活かした仕事にはさまざまな種類が存在します。

デジタルカメラや望遠鏡を開発/製造する際には、光学機器の性能や機能を最適化して、高品質な観察や撮影を可能にするエンジニアが必要となりますし、照明器具の設計においても、照明の明るさや光の指向性を調整して、効率的で目的に適した照明を実現するためのエンジニアが不可欠です。

人工衛星、半導体製造装置、医療機器などの最先端の分野でも、要求される品質や性能を実現するために、光学技術の知識を持つ人材が活躍しています。製品の品質向上や効率化のための重要な仕事と言えるでしょう。

光学設計の仕事をするのはどんな人

光学設計とは、レンズ・ミラー・プリズム・フィルター・絞りなどの光学部品を組み合わせた光学系について、各部品の形状・大きさ・材質および部品の数と配置を決める仕事です。特にレンズの形状や配置の決定には数値シミュレーションを利用することがあり、目的の光学性能を引き出すことができた際のやりがいは非常に大きい仕事です。

また、光学部品は光を都合よく拡散・収束させるために利用しますが、これまでにない光学特性をもった光学部品を利用することで、小型化や高性能化といった付加価値を実現できた際の喜びは非常に大きいものとなります。

光学系の働きという観点からは、大きくは照明系(投光)と結像系(拡大)に分かれます。照明系は、照射範囲における光の明るさ・色の分布のデザインが重要となります。結像系は、いわゆるピントの精度や、レンズによる収差(ボケの要因の1つ)の抑制をいかにデザインするかが重要となります。この観点で製品を例に、どんなエンジニアが光学設計の仕事をしているか見てみましょう。

・携帯のバックライト
光の拡散のみで集光は無し、導光板のみでミラー、レンズもなく、光学設計としてはシンプルなこともあり、機械系エンジニアがレンズ部分を担当することが多い。

・電気照明
光の拡散がメインで、ミラーでの集光がありレンズは無し。光学設計専門のエンジニアが担当することもあれば、機械系エンジニアが担当することもある。

・カメラの鏡筒
光の拡散・集光をレンズで調整する。マイクロメートル(μm)の精度が要求される難易度の高い設計のため、光学設計専門のエンジニアが担当。

・半導体露光装置(ステッパー)
光の拡散・集光を特殊なレンズで調整する。レンズの枚数も多く、ナノメートル(nm)の精度が要求される難易度が高い設計になるため、光学設計の専門家がレンズ部分を担当。

光学設計の仕事に転職したいと考えている人は、給与の傾向や向いている人の特徴、他の転職者の情報など、平均的なデータを知った上で独自のスキルを高めて、自分の価値を向上させることが大切です。

年齢・性別

doda職種図鑑」によると、「機械設計/金型設計/光学設計」に転職した人の平均年齢は約32歳。年齢の内訳を詳しく見てみると、25~29歳で転職した人が最も多く、それに30~34歳、40歳以上、35~39歳と続きます。ある程度の知識や技術を持った人が、光学設計の仕事に転職することが多いと考えられます。

給与相場

「doda職種図鑑」によると、「機械設計/金型設計/光学設計」の給与相場は、ものづくり系エンジニア全体の平均と同程度の年収450万円前後となっていて、平均年収については、ものづくり系エンジニアの中では特別多い方ではありません。

「機械設計/金型設計/光学設計」の最も多い年収帯は300~400万円未満で、400~500万円未満、500~600万円未満と続きます。それ以上の給与を得ている人もいますが、300万円未満の人もいます。年間ボーナスは約117万円となっていて、これもものづくり系エンジニアとしては特に多い方ではありません。多くの給与を得るためには、高度なスキルを獲得して、企業にとって必要な人材になる必要があるでしょう。

向いている人

光学設計に向いているのは、理論的な数値シミュレーションに興味がある人、かつ理論と実験を比較しながら改良するトライ&エラーをいとわない人です。大学教養レベルの物理学・数学の素養をものづくりに活かしてみたい、という方も向いています。必要となる知識は光学・電磁気学などの物理や、解析学・線型代数・数値計算などの数学の分野です。そして、知識だけではなく、知識を実際の製品に活かすための実践力も不可欠と言えるでしょう。

また、他分野のエンジニアや顧客とコミュニケーションを取りながら作業することもあるため、協力し合って解決策を見つける柔軟性も必要です。他の人の意見や要求を聞きながら、求められる品質を満たした製品を作るために、自分の作業内容をやり繰りできる能力も重要となります。

働くために、資格は必要?

光学設計で働くために必須の資格はありませんが、光学の専門知識を測る「光検定」という資格があります。

光検定は、日本独自の光学技術や光学設計技術を次の世代に伝えるために設けられた資格制度で、オプティクスとフォトニクスを含む光技術や、基本的な光学系の設計技術を習得した人材を育成することを目的としています。光技術と光学設計技術に関する一定水準の知識を持っていることを証明する唯一の国家資格で、将来の就職や職場での評価基準として期待されている資格です。

光検定には、 フォト、ブロンズ、シルバー、ゴールド、デザイン(プラチナ)の5つのランクがあり、シルバーランクは光技術知識の大学入試レベル、ゴールドランクは大学院入試レベルに相当するとしています。

光学設計の将来性

3Dプリンティングやスマートフォンなどの最新技術の需要が増加していることもあり、光学設計の将来は明るいと言えるでしょう。医療や自動運転技術などの分野でも、光学設計の役割が重要性を増しています。とりわけ、画像認識AIの精度を高めるために光学設計が必要とされており、このような需要から、光学設計の技術を持つエンジニアに対する求人が継続するものと予想されます。求人情報の仕事内容などを調べることで、これらの傾向を確認することができるでしょう。

このように光学設計の分野の成長に伴い、光学関係の多くの種類の職種では、好条件での転職が可能となります。待遇面で恵まれるだけではなく、新たな技術革新に携わる機会を得ることで、やりがいや達成感などを感じることができるでしょう。光学設計の仕事は、将来性や多くのメリットを感じられる環境を与えてくれます。

光学設計に関する求人の会社選びのポイント

光学設計の用途は、光学機器、照明器具、人工衛星、半導体製造装置、医療機器など多方面にわたりますので、同じ光学設計の仕事でも転職する企業によって、仕事内容や待遇は大きく異なります。求人情報や採用担当者の話などを把握して、転職後のことを具体的に検討した上で、決断することが重要です。企業風土や職場の雰囲気なども確かめて、気分良く働ける会社なのかを考えてみましょう。光学設計の業務経験がある人でも、異なる会社に転職することになれば、仕事の仕方や評価方法なども違ってきますので、対応可能かどうかを考える必要があります。

転職する会社の将来性も重要となりますので、企業の方針や業績などを調べておくことも肝心です。転職した時は業績が良くても、長期的に業績が悪化するようでは、待遇も良くなりませんし、希望する仕事が継続できるかも分からなくなります。その企業の業績や第三者による評価などを調べて、問題ないことを確かめておくようにしましょう。

光学設計に関する求人への転職なら「メイテックネクスト」

光学設計は各社秘匿性が高く、専門性も高いため、転職マーケットに経験者があまりいないのが特徴です。各メーカーにおいても光学設計者の所属割合は極めて少なく、100名規模の製品開発部隊であっても、光学設計の実務担当者は3、4名程と言われています。つまり、光学関連事業を持つ企業にとっては、光学設計者に対する依存度が高いと言えます。

一方、光学設計における汎用ソフト(Zemax OpticStudioやCODE Vなど)、光学の実機評価など開発環境に資金が必要になるため、事業方針として光学分野に注力しなくなると、力を発揮できない環境に追い込まれるリスクもあります。

メイテックネクストでは、「光学設計者」と一括りにせず、レンズ由来、デバイス由来など、光学系の構成や要素技術を理解した上でマッチングができるため、エンジニアの皆さんが光学設計の技術を存分に発揮できる環境を提案できます。また、これから光学設計にチャレンジする方へ必要な知識などの情報提供も可能ですので、ご興味をお持ちの方は是非一度お問い合わせください。

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>>光学設計の仕事に興味のある人はこちら(メイテックネクスト求人情報ページ)

まとめ

光学設計の仕事は、レンズを使った製品の重要性が増したことから、大きな可能性を持った職種となりました。大きな将来性のある職種ですから、常に向上心を持って開発業務などを行っていけば、確かな結果が返ってくるでしょう。技術革新の中心で働ける機会もありますので、毎日を刺激に満ちた中で過ごすことも可能です。光学技術に興味があるのであれば、光学設計関係の求人を出している企業に応募することを検討してみると良いでしょう。

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記事監修
梅津 太一(メイテックネクスト 東京支社長)
中小から大手メーカーに対する採用コンサルティングを4年、その後はキャリアアドバイザーとして11年、延べ4000名以上のエンジニアのキャリアカウンセリング経験を持ちます。得意としていることは「求職者の強みの抽出」と「要素技術軸、工程軸(方法論)でのマッチング」です。昨今のマーケットは先が読みくいが故、自身が今どのような経験を積むべきか、また、どの分野(強み・弱み)に負荷をかけ成長を促すかを求職者と一緒に考えていきたいと思います。


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