光と機械学習を組み合わせ、人間の指のような触覚を持つロボットフィンガーを開発

コロンビア大学の研究チームは、光と機械学習を組み合わせて、高感度のタッチセンサーを備えたロボットフィンガーを作製した。人間の指先のように表面は曲面だが、1mm未満の精度で接触位置を検出できる。研究結果は、2020年2月21日付けの『IEEE/ASME Transactions on Mechatronics』に掲載されている。

人間の指には、皮膚1平方センチメートルあたり400個以上の小さなタッチセンサーがあり、そこから驚くほどたくさんの情報がもたらされる。一方、「触覚はロボット操作においてユビキタスからは依然遠いものだ」と、研究チームを率いるMatei Ciocarlie准教授は語る。従来のタッチセンサーは、複雑な曲面をカバーするのが難しい、ワイヤ本数が多い、小さな指先にフィットさせるのが難しい、など多くの問題を抱えている。研究チームは、人間の指のように接触位置と法線力の検出ができる触覚ロボットフィンガーの開発に取り組んだ。

重要なカギとなったのは、「光」と「機械学習」という2つの技術だ。

まず、接触を感知するために、光を利用した。「皮膚」の下には透明なシリコンの導波路層があり、LEDのエミッターとフォトダイオードのレシーバーが、それぞれ30個以上埋め込まれている。ロボットフィンガーが何かに触れると皮膚が変形して、内部で光が反射し、受光信号も変化する。LEDからフォトダイオードまでの信号は最終的に1000個近いデータ量になり、それらデータセットは接触に関する情報を含んでいる。光はカーブした空間も反射して通過できるため、指先のように複雑な3D形状もカバーできる。

次に、機械学習を利用して、ロボットフィンガーがどこを触っているか、何を触っているか、どのくらいの力が加わっているか、といった情報を抽出した。レシーバーが受ける信号は非常に多く、部分的にオーバーラップしているものもある。データは人が解釈するには複雑だが、機械学習を利用することで、1mm未満という非常に高い精度で触覚情報を得ることができた。

最後に、このロボットフィンガーを3本指または4本指のロボットハンドに組み込んだ。約1000個の信号数にも関わらず、ワイヤ本数はたった14本で済み、複雑なオフボードの電子機器は不要だ。今後は、触覚や固有受容性データに基づいた操作を実証するとしている。

細かな操作ができるロボットは、製造やロジスティクス分野が必要としている。それだけでなく、ヘルスケアやサービス業界といった分野においても個人向けのアシスタンスロボットとしての需要が見込まれる。

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A Tactile Robot Finger With No Blind Spots

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