日本書紀に記録された「赤気」は扇形オーロラ――天文学者と日本文学者が解明

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日本最古の天文記録として知られる「日本書紀」に記された「赤気」が、近年の古典籍を用いたオーロラ研究で解明されてきた「扇形オーロラ」だと考えられると発表された。この研究は国立極地研究所と国文学研究資料館を中心とした研究グループによるもので、2020年3月31日発行の「総研大文化科学研究」に掲載された。

日本書紀には、今から1400年前の推古天皇28年(西暦620年)に「十二月の庚寅の朔に、天に赤気有り。長さ一丈余なり。形雉(キジ)尾に似れり」と書かれている。これがオーロラのことなのか彗星なのか、どちらの説も決め手に欠けていた。また、形については「雉」でなく「碓(ウス)」と書いてある写本も多い。

それに対し、国文学研究資料館と国立極地研究所が中心となって進めてきた近年の研究で、日本のような中緯度で大規模な磁気嵐中に見られるオーロラは赤く、扇形の構造を示すものだということが明らかになった。また、雉はディスプレイ行動などの際、尾羽を扇形にすることがある。

これらのことから、同研究グループは今回の論文で、緯度の低い地域で見られる扇形のオーロラを目撃した当時の日本人は、雉が見せる扇形の尾羽でオーロラを例えたのだろう、という解釈を新たに提唱した。当時の日本の磁気緯度は現在よりも10度ほど高かったため、大規模な磁気嵐が起これば、日本でもオーロラが見えた可能性がある。これは、多くの初期の写本に「似碓尾」と書いてあるのは「似雉尾」の誤写だとする明治の研究を科学的に裏付けるともいえる。

以上は、天文学者と日本文学者が手を携えた、文理融合による研究成果だ。そして、当時の日本は現在よりもオーロラが観測しやすい状況にあったという地磁気モデルとの整合性を支持する材料であり、過去の地球物理的な状況を特定するデータとしての価値もある。

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日本最古の天文記録は、『日本書紀』に記された扇形オーロラだった

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