MIT、CRISPRを活用した新たな新型コロナウイルス検査を考案――手順も簡素化し1時間で判定可能に

マサチューセッツ工科大学(MIT)などの研究チームは、ゲノム編集技術「CRISPR」を使い、短時間で実施でき、かつ、コストの安い新型コロナウイルス検査法を考案した。

「STOPCovid」と呼ばれるこの検査法は、CRISPR-Cas13aを活用して核酸を検出する技術「SHERLOCK」を応用し、被験者から採取した検体(唾液または鼻腔拭い液)からCas12bを用いて新型コロナウイルスの遺伝子コードのシグネチャーを探し出すものだ。

SHERLOCK技術をベースとした他の検査法では、加熱してウイルスRNAを増幅した後、チューブを開けて抽出し、検出作業をする必要があるため、煩雑なうえサンプル汚染の可能性がある。しかし、STOPCovidでは、チューブに入れて加熱した後は、そのチューブに試験紙を浸すだけでよい。検査結果は試験紙に表れる線の数で確認する。

STOPCovidプロジェクトによれば、社会活動を安全に再開するには検査を大規模に行うほかないが、現在の検査方法には欠点があり、人々が元の生活に戻るために不可欠な「検査→追跡→隔離」という一連の措置を幅広く展開することが難しいという。これに対し、STOPCovidは検査開始から判定まで1時間もかからずに実施でき、感度はPCR法と同等だという。検査1回当たりの実施コストも10ドル(約1100円)未満と安い。反応装置もシンプルで、大量に検査を行うための迅速な製造も可能だとしている。

2020年5月5日時点で、STOPCovidは、患者から採取したサンプルで検証済みではあるが、米国食品医薬品局(FDA)からの認可は受けていないため、臨床目的で使用すべきではないとしており、研究目的でのみ実施されている。この方法に用いるSHERLOCK検査キットは、米国食品医薬品局(FDA)の緊急使用許可(EUA)を得た。これは、FDAがゲノム編集技術の使用を許可した最初のケースだという。

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