体温で発電するウェアラブルデバイスも――熱電発電デバイス向け導電性プラスチックの研究 名古屋大学

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名古屋大学は、IoTデバイス向けの体温を利用した発電デバイスの開発へ向けて、その有望な材料である導電性高分子の重要な特性を解明したと発表した。ポリマー内の原子鎖の捻れがほどかれることで、導電性が向上することを示すもので、この研究は2020年2月14日、『Science Advances』に掲載されている。

現在、IoTデバイス向けに、人体と外気の温度差から発電し、マイクロデバイスやセンサーを充電する方法が研究されている。軽量で柔軟、非毒性の導電性高分子は、温度差で発電する熱電発電装置に有望な材料として注目されているが、性能向上が大きな課題となっている。導電性高分子の薄膜は、結晶領域と非結晶領域で形成された非常に無秩序な構造をしているため、その特性を理解して、性能を最適化するのは容易ではない。

研究グループは、高い構造秩序を示しながら、高い導電性を持つチオフェンベースの高分子材料であるPBTTTに注目し、その熱電特性を調べた。まず、導電性を向上することが知られているイオン電解質ゲルを高分子薄膜にドープした。特定の電圧を印加することでゲルをポリマー浸透させる電解質ゲート法と呼ばれる電荷注入方法で、高分子薄膜の電荷濃度と材料の性質を精密に制御できる。

これにより、室温で600S/cmを超える高い電気伝導率を可能にした。また、電気伝導率の向上に伴い、発電性能(PF)が明確なピークを示すことを、PBTTT薄膜において初めて示した。そしてPFのピークは、その付近で電気伝導特性が半導体から金属へと変化していることに起因していることも分かった。

研究チームはさまざまな測定技術を用いて、ドープされた時のPBTTT薄膜の電子的、構造的変化を調べ、薄膜中の、特に分子配列秩序が高い結晶領域では、このような金属状態への変化がより低い電荷注入量で起きることが明らかになった。

一方で、電解質ゲルなしでは、PBTTTの鎖が高度に捻れていることも発見した。この捻じれにより結晶領域間で電気伝導が妨げられ、半導体的な性質が発現すると考えられる。臨界量の電解質をドープすると、鎖の捻れが解けて結晶間にリンクが形成され、電子伝導性が向上し、金属的な特性を示す。

以上の成果は、高い発電性能を持つフレキシブルな熱電変換材料/素子の開発につながると期待され、それにより将来のIoT社会で、膨大な数の電子機器やセンサーの電源供給を細やかに行えるようになるという。研究グループは現在、材料設計と製造条件の変更を通じて、薄膜導電性ポリマーの熱電性能を最適化する方法を検討している。

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