長時間の飛行を可能にする固体酸化物形燃料電池(SOFC)ドローンを開発 産総研ら

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産業技術総合研究所(産総研)は2020年6月15日、プロドローンおよびアツミテックと共同で、長時間飛行/作業が可能な固体酸化物形燃料電池(SOFC)ドローンを開発したと発表した。

産総研によると、近年、物流やインフラ点検、災害時対応などの分野においてドローン活用に対する期待が高まっている。しかし、従来ドローンの電源として一般的に使用されているリチウムイオンポリマー(LiPo)二次電池は、単位重量あたりのエネルギー密度が小さいために長時間飛行が難しいという課題があった。長時間飛行のために多くの二次電池を搭載してしまうと、今度は荷物や測定機器などの積載重量が減ってしまう。また、災害時などでは充電用電源の確保が難しいという課題もあった。

これらの課題を解決するために、純水素で駆動する固体高分子形燃料電池を搭載したドローンの開発も進められているが、水素インフラが未整備な地区では水素燃料の調達が難しい。

今回産総研らは液化石油ガス(LPG)を利用できるSOFCスタック(複数のSOFCセルを直列接続した構造体)の高出力化と軽量化を実現した。

新たに開発したSOFCスタックは、平板型セルを採用することで単位体積あたりの出力密度を向上。発電した電気を集積する部材を改良することで電極面積あたりの出力密度を約2倍に改善した。またセパレータ形状の工夫により軽量化。以前に開発した燃料電池システムと比較して、出力あたりの重量を60%低減した。

SOFCスタックを搭載するLPG駆動SOFCシステムには、産総研が開発した内部改質SOFC技術を採用した。同技術により電極内部でLPGを水素や一酸化炭素に改質して利用するので、市販のLPGカセットボンベなどを燃料として用いることが可能。水素インフラが未整備な地域でも長時間のドローン利用ができるようになる。

(左)ドローン搭載用SOFCスタック外観 (右)LPG駆動SOFCシステムの外観

今回開発したSOFCドローンは、LiPo二次電池とSOFCシステムの両方を搭載したハイブリッドシステムだ。電力負荷が小さい時にはSOFCシステムはLiPo二次電池に給電して充電。電力負荷が大きくなればSOFCシステムとLiPo二次電池の両方からドローンへ給電する。

従来のドローンとSOFCドローンの電力供給の模式図

産総研によると、今回ドローン電源としてSOFCが適用可能なことを実証した世界初の例となる。今回のSOFCドローン開発により、水素インフラが整備されていないエリアでも物流やインフラ点検、災害対応などの分野でドローンがさらに活用されることが期待されるという。

今後、さらなるドローンの長時間飛行を実現させるため、SOFCシステムの高出力化、軽量化、またハイブリッド電源システムの最適化やドローンの省電力化などを進め、SOFCドローンの早期商品化を目指す。

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