低電力で明るく発光し、自己修復する伸縮性素材「HELIOS」を開発

低電圧で明るく発光し、さらに自己修復性も備えた伸縮性材料が開発された。シンガポール国立大学によるもので、2019年12月16日、『Nature Materials』に掲載された。

一般的な伸縮可能な光電子材料は、視認できる輝度を得るために高い電圧と高周波を必要とし、可搬性と動作寿命に制約があるという問題がある。研究チームは、これらの課題を克服する新材料のHELIOS(Healable, Low-field Illuminating Optoelectronic Stretchable)を開発した。HELIOSは、伸縮可能でかつ動作条件を下げるため、フルオロエラストマーと界面活性剤を混合し、非常に高い誘電率と自己回復特性を持たせた透明の弾性ゴムシートとなっている。誘電率が高いため、より低い電圧でより多くの電子電荷を蓄積でき、発光デバイスとしても高い輝度を実現する。

HELIOSによるデバイスは、従来の光電子材料の4分の1の電圧でオンになり、20倍以上明るい1460cdの照度を達成した。これは携帯電話画面の明るさと同等で、低消費電力かつ動作寿命も長い。また、ワイヤレスで電力を供給できるため、携帯性も向上している。さらにHELIOSは、分子間の結合が可逆的で壊されても再生し、破れや穿孔に対して耐性がある。

研究チームは、HELIOSの使用例として、耐久性があり長寿命のワイヤレスディスプレイや、スマート屋内農業、宇宙ミッション、災害地域に配備される自律型ソフトロボットの自己照明型電子スキン、ロボットを暗闇で操作するための安全照明などを挙げてる。

関連リンク

New electronic material for wearables and soft robots

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