ボルトの緩みを低コストで定量評価する手法を開発――固有振動数を計測 芝浦工大と英エジンバラ大

芝浦工業大学と英エジンバラ大学の研究グループは2020年9月9日、ボルトの緩みを低コストで定量評価できる手法を開発したと発表した。点検者の技量や熟練度に依存せず、簡便なプロセスで測定できる。

ボルトの緩みは、点検者が叩いた音の変化を聞いて判断する打音検査が主流となっているが、点検者の技量によるばらつきが大きく、正確にボルトの緩みを測定できなかった。しかし、今回開発した測定方法は、人には聞こえない超音波領域の音を使うため、打音検査では分からない微妙な緩みを検知できるという。また、汎用の振動試験装置を使えるため、安価で導入できる。

開発した技術は、人には聞こえない超音波レベルの振動を計測し、ボルト先端部の周波数と軸力の相関を明らかにしてボルトの緩みを検出する。今回の測定方法では、対象物を叩いて軸力に対するボルト先端部の固有振動数の変化を調べ、軸力を評価した。対象物は、ポイントに分けてハンマーで検査している。

測定の結果、対象物を叩いて振動させると、締まっているときはボルト先端部の振動モード形の固有振動数が高く(細かく速く揺れる)、緩むことで低下(大きくゆっくり揺れる)することが明らかになった。これにより、ボルト先端部の固有振動数と軸力との間には明確な関係が存在することが確認され、振動数は軸力の減少に伴い減少することが示された。

ボルト/ナット締結体の軸力測定

モード周波数の変動係数を取得し、ボルト先端部のゆるみ(上)とボルト先端部の固有振動数(下)の関係

この技術は、点検者の技量や熟練度に依存せず、プロセスも簡便なため、測定を低コスト化するという。将来的には、遠隔計測や自動化、定量的評価が期待できる。現在は、企業と共同研究を実施しており、今後はこの手法を活用して検査をするシステム作りを目指す。

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