電気をかけると色が変わるエレクトロクロミック材料の安定供給を実現――低価格で高性能な調光ガラスの普及へ

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物質・材料研究機構(NIMS)は2020年6月26日、東京化成工業(TCI)と共同で、電気をかけると色が変わる材料「メタロ超分子ポリマー」を安定的に供給できる合成プロセスを確立したと発表した。メタロ超分子ポリマーの普及により、電気で遮光状態と透明状態を切り替えできる調光ガラス窓の市場拡大が期待される。

電気で着色と透明が切り替わるエレクトロクロミック(EC)材料を使用した調光ガラス窓は、ガラス自体がブラインドやカーテンの機能担うことから、すっきりしたオフィス空間や生活空間を作り出す次世代ガラス窓として実用化研究が進められている。

EC調光ガラスは、透明電極が付属した2枚のガラス板でEC材料を挟み、電極間に電気を流して色を変えるが、EC材料をガラス上に製膜するには真空蒸着設備が必要となる。こうしたことから、ガラスサイズが大きくなると設備コストが非常に高くなるため、一般の窓への普及に至っていない。

そこでNIMSは2005年に、EC調光ガラスを低価格化できる塗布での製膜が行えるEC材料であるメタロ超分子ポリマーを開発。発色性や色変化の応答性にも優れたメタロ超分子ポリマーは、電源を切っても発色状態が維持される低消費電力性といった特徴があり、量産に向けた生産プロセスの開発が期待されていたところ、今回安定した品質で量産できる体制を確保した。

NIMSとTCIがメタロ超分子ポリマーの生産プロセスを検討し、原料の有機分子からEC材料の合成に至るまでの一貫プロセスを確立したことで、EC調光ガラスにして数十平米分となる百グラムスケールを月産で製造できる。

合成プロセスを確立したEC材料は、メタノールなどの有機溶剤に可溶であり、塗布によって透明電極がついたガラス上に製膜できる。材料を塗布した膜に電位を印加すると、材料に含まれる鉄イオンが酸化還元し、可逆な色変化(EC変化)を示すという。

一般販売は、TCIから製品名「Poly(Fe-btpyb)Purple」として6月30日の開始を予定している。今後、材料の実用化を推進するためにさらなるスケールアップに取り組んでいくほか、TCIから調光ガラスを製造する企業への販売とNIMSからの用途特許のライセンスをセットで行い、次世代ガラスの市場育成を促進する。

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