マリー・アントワネットが一夜で白髪になったのは本当か――ストレスと毛髪の色素との関係を解明

Credit: Hsu Laboratory, Harvard University

米ハーバード大学の科学者たちが、ストレスと色素再生幹細胞との関係を解明し、恐怖で白髪になる可能性があることを明らかにした。

フランス革命中に王妃マリー・アントワネットが捕らえられたとき、彼女の髪は一晩で白くなったと伝えられている。他にも恐怖によって短期間で白髪になったという逸話はあるが、その真偽は定かではなかった。

ハーバード大学の研究チームがストレスと白髪との関係を研究したところ、急性ストレスによって交感神経系が過剰に活性化すると、神経伝達物質として働くノルアドレナリン(ノルエピネフリン)が大量に放出されることが分かった。

ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)は、毛包の色素再生幹細胞を過度に活性化させ急速に枯渇させるため、白髪になるのを促進する。

「ストレスによる有害な影響は、私の想像を超えていた」とHsu博士は語っている。「ほんの数日で、全ての色素再生幹細胞がなくなった。幹細胞がなくなってしまうと、色素は再生できなくなる。その損傷は永久的なものだ」と言う。

本研究成果は、2020年1月22日付で科学誌『Nature』(電子版)に掲載されている。今回、突き止められた原因によると、マリー・アントワネットが白髪になったと伝えられる話も、一晩で起きたことではないだろうが、真実だった可能性がある。

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Solving a biological puzzle: How stress causes gray hair
Hyperactivation of sympathetic nerves drives depletion of melanocyte stem cells

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