低コストで有毒な金属を使わない「CZTSSe薄膜太陽電池パネル」を開発

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ⓒDGIST

有毒な金属を含まない合金ベースの高効率ソーラーパネルを低コストに製造する方法が開発された。この研究は大邱慶北科学技術院によるもので、2020年2月6日、『Advanced Energy Materials』に掲載された。

一般的な市販の薄膜ソーラーパネルは、インジウムやガリウムなどの高価な希土類元素や、カドミウムなどの毒性の高い金属を含んでいる。これらはコストが高いことや、住環境への負荷になるという問題がある。

こうした課題に対して、母材として青銅(銅とスズの合金)と真鍮(銅と亜鉛の合金)を使用する薄膜太陽電池は、非毒性で資源的に豊富な材料から成り、低コストで、高い耐久性があり、持続可能性もあることから、世界中で研究されている。

だが、低毒性の合金を使ったソーラーパネルには、理論的効率はトップマーケット製品の効率と一致するが、実際にはパフォーマンスが大幅に低い傾向にあるという問題がある。これは、CZTSSe(銅、亜鉛、スズ、硫黄、およびセレン)膜を作成するための加熱と冷却のプロセスであるアニーリング(焼なまし)中に、点欠陥や面欠陥などのさまざまな欠陥が材料に形成されることで電流の流れを損ない、電力損失が発生するためだ。

そこで研究チームは、最高品質のCZTSSe薄膜を合成する手法を模索した。まず、CZTSSe薄膜の粒度に強い影響を与えるアニーリング条件を調べたところ、アニーリング時間を長くし、アニーリング温度を高くすると、結晶粒径が大きくなり、電力損失が少なくなった。

ところがアニーリング温度と時間が増加すると分解が生じ、CZTSSe薄膜の特性が変化してしまう。この問題を回避するために、研究チームは特殊な「liquid-assisted法」を用いることで、CZTSSeの結晶の成長速度を高めた。これにより、低温でも結晶粒が大きく成長でき、CZTSSe薄膜の特性に変化が起こることを防げる。

この研究によって、低コストで環境に優しい太陽エネルギーの探求における重要なハードルが克服された。研究チームは、毒性がなくレアメタルも不使用のCZTSSe太陽電池は、どこにでも設置することができ、電子機器、家庭用品、建物、車両など、さまざまな用途が考えられるとしている。

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Trapping the Sun: New Thin-Film Technology Uses Sustainable Components for Solar Panels

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