太陽エネルギーから熱電併給できる、高効率で低コストな太陽光コージェネレーションシステムを開発

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Photo courtesy of Matthew Escarra

米テュレーン大学の研究チームが、ディッシュ型ミラーにより太陽光線を集光して波長域を分離し、可視光や紫外線からは太陽電池を用いて発電し、赤外線からは集熱器によって高温水蒸気を発生させる、太陽光コージェネレーションシステムを考案した。全体としてのエネルギー収率が85.1%と極めて高く、低コストの運転が可能であり、スケールアップした場合は電気と熱の生成コストを発電原価換算LCOEで1kW時あたり3セントに抑制できるという。高温の熱供給を多量に必要とする産業分野での活用が期待できるもので、研究成果が、2020年7月15日の『Cell Reports Physical Science』誌に発表されている。

現在、太陽エネルギーの活用は、太陽電池による「太陽光発電」が主体で、太陽熱温水器のような熱的な利用は少数派といえる。だが一方で、太陽光をパラボリック型ミラーにより集光し、熱媒体を加熱して水蒸気を発生、タービンを介して発電する「太陽熱発電」が従来から提案されており、民間商用プラントも建設されてきた。

研究チームは、再生可能で温室効果ガスの影響がなく、産業プロセス用に電気と熱を併給できる、太陽光コージェネシステム開発にチャレンジした。太陽エネルギー利用の熱供給と発電は、従来別々に設計するのが一般的で、広大なスペースを必要とし、システム的なエネルギー損失も大きくなるという問題があった。両システムを同時に実施するハイブリッド方式も提案されてきたが、コスト効率が悪く、エネルギー効率も十分ではなかった。

そこで研究チームは、3種類のⅢ-Ⅴ型化合物半導体を積層した3接合型太陽電池を、間隔をあけて配列した透過性集光型発電モジュールを設計した。ディッシュ型ミラーにより太陽光線を集光し、可視光や紫外線を使って太陽電池で発電するとともに、モジュールを透過した赤外線を、吸熱性を高めるよう工夫された集熱器に再集光させ、高温の水蒸気を発生させた。その結果、大幅なコストアップなしに、熱供給および発電の両方を一体化させたシステムに統合することに成功した。

この太陽光コージェネ装置により、総合収率85.1%で太陽エネルギーを捕捉することができた。生成した水蒸気は最高248℃まで加熱でき、これは多くの太陽熱収集装置よりも高い。コスト効率にも優れており、スケールアップすることで電気と熱の生成コストを均等化発電原価LCOEで換算すると、1kW時あたり3セント相当と、天然ガスを利用した熱供給と同等レベルを達成できる。

熱エネルギーは、電気と異なって必要になるまで貯蔵することができる特徴があり、広範な商業用途および産業用途、特に高温の熱供給を必要とする、食品加工、化学製品、水処理、石油増進回収などの産業分野に熱電併給が可能になると、研究チームは期待している。

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