仮想環境におけるネットワーク処理の主要機能である仮想ルーターを高速化する技術を開発 富士通研究所

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富士通研究所は2020年11月27日、仮想環境におけるネットワーク処理の主要機能である仮想ルーターを高速化する技術を開発したと発表した。

企業のデジタル革新が進む中、汎用サーバー上の仮想環境を用いて、複数のアプリケーションとネットワーク処理機能を集約するサーバー仮想化が広く一般化している。また、さまざまな企業におけるDXの加速により、アプリケーション同士が連携して動作する新たなサービスも生まれているなどの背景から、アプリケーションが取り扱うデータ量は増加傾向にあり、ネットワークの複雑化と負荷増加が問題となっている。

効率的なサーバー仮想化を実現するには、柔軟なネットワーク構成に必要な仮想ルーターのパケット処理性能の向上と、ネットワーク処理に用いられるCPUリソースの削減が課題だ。これらの課題を解決すれば、サーバー上で動作するアプリケーション数の増加や必要なサーバー台数の削減を達成でき、利用者の投資コストが低減できる。

そこで富士通研究所は、仮想ルーター機能をFPGAにオフロードし処理することでCPUの処理を肩代わりし、さらにパケットの宛先制御を高速化する技術を開発した。これにより、ネットワーク性能を高速化させ、そしてネットワーク処理で使用するCPUリソースを大幅に削減できるという。

同社が開発した高速パケット宛先検索技術は、パケットのパイプライン上でパケットと別に順序情報を保持し、多段にわたる宛先検索処理において前段検索の結果から不要となった次段検索をバイパスさせて合流させる際に、パケットのパイプラインの順序情報をもとに高速にパケットを元の順序に戻す。高速なパイプライン処理を維持しつつメモリアクセスを低減させるとともに、パイプライン処理を二重化することで、パケット処理性能を向上させる。

同時に検索テーブルのハイブリッドメモリ管理技術が開発されたが、これは高速で小容量なFPGAの内部メモリと大容量の外部メモリとを、宛先検索処理を止めずに自動的に切り替える機能だ。接続数の増加に伴って検索テーブル群のメモリ使用量が増加して内部メモリの空き容量が少なくなった場合に、容量当たりのアクセス頻度が低い検索テーブルをバックグラウンドで外部メモリに同期し、検索処理を止めることなく外部メモリの検索テーブルに自動で切り替える。これにより、大規模システムにおいて通信先が多く、大きな検索テーブルが必要な場合でも、外部メモリへのアクセスを抑えて、安定したパケット処理ができる。

本技術を用いて、オープンソースの代表的な仮想ルーターである「Tungsten FabricTM」を、高速メモリHBM2を搭載した「インテルStratix10MX FPGA」上に実装し、汎用サーバー上でのオフロード効果の検証を実施。100Gbpsのイーサネットで接続したサーバー2台に仮想マシンを4台ずつ動かし、各仮想マシン間で通信を行って仮想ルーターの性能を測定したところ、従来手法では13.8Mppsだったパケット処理性能に対して、250Mppsと約18倍に高速化した。また、使用CPUコア数も従来の13コアから1コアに削減できた。

本技術を用いることでアプリケーションのサーバー集約率を向上させることが可能となり、キャリア事業者向けの基地局やMECをはじめとした5G時代の大量データを活用したインフラビジネス領域におけるサーバーの利用効率を向上させ、顧客のDXを基盤から支えられる。今後は、本技術のさらなる性能向上と機能拡充に取り組むとともに、顧客のDXユースケースを想定した検証を進め、2021年度中の実用化を目指すという。

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