ゾウの鼻のように物をつかんで持ち上げられるソフトロボットグリッパーを開発――220倍の重さの物も持ち上げ可能

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Photo: Shutterstock

ゾウの鼻のように、物を壊さずにつかんで持ち上げて離すことができる、柔らかい布製のロボットグリッパーが開発された。この研究は豪ニューサウスウェールズ大学によるもので、2020年11月5日付で『Advanced Materials Technologies』誌に掲載された。

ソフトグリッパーの多くは、内側に曲がる複数の指があるかぎ爪または人間の手のような構造に基づいて作られている。そのため、奇妙な形状の物や重い物、かさばる物、グリッパーの開口部よりも小さすぎたり大きすぎたりする物をつかむには不向きだ。また、既存のソフトグリッパーの多くには感覚フィードバックと硬さの調整機能がなく、壊れやすい物体に対して使用したり、狭い環境で使用したりすることができない。

そこで、研究チームは、自然界からインスピレーションを受けて、既存の設計を改良することを考えた。ゾウ、ニシキヘビ、タコなどの動物は、体の柔らかい連続構造を用いて、接触と安定性を高めながら、対象物の周りにしっかりと絡ませてつかむ。

今回開発された柔らかい布製グリッパーは、このようなグリップ機能を模倣したものだ。このグリッパーは薄く平らで軽く、筒の中のペンのような狭い空洞からでもさまざまな物体をつかんで取り出すことができる。また、マグカップの持ち手のように物体に開いた穴に引っ掛けて持ち上げることもできる。

このグリッパーは、アパレル工学のコンピューター化技術を使用した簡単な挿入方法で製造され、小型の油圧源で制御する。従来の15倍もの感度を持つ高伸縮性で液体金属ベースのソフト力覚センサーが組み込まれており、リアルタイムでのタッチセンシングが可能だ。これにより、扱う物体を損傷させない握力を検知できる。

さらに、グリッパー本体を柔軟性のある状態から硬い状態、またはその逆へと変化させる熱活性化可変剛性機構を搭載しており、さまざまな形状や重さの物体をつかみ保持することができる。この軟化硬化サイクルにかかる時間は、これまでに報告されている中で最速の24秒以内となっている。

テストをしたところ、重さ8.2gであるグリッパーのプロトタイプは、グリッパー自体の質量の約220倍に当たる1.8kgの物体を持ち上げることができた。また、長さ130mmのプロトタイプは、直径30mmの物体に巻き付くことができた。

製造方法はシンプルかつスケーラブルであるため、グリッパーをさまざまなサイズで製作でき、例えば、長さ1mのグリッパーは直径300mm以上の物体を扱うことができるという。

この技術は汎用性が高く、農業、食品産業、科学的探査や資源探査など壊れやすい物体を扱う分野や、人間の救助活動や補装具にも広く応用できるとしている。研究チームは、産業パートナーを見つけられればこのグリッパーを今後12〜16カ月で市販できる可能性があると期待している。

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