新型コロナで自動化が加速、2025年までに仕事の半分が機械化される見込み――世界経済フォーラム予測

新型コロナウイルス感染症の拡大は、労働市場の変化を想定以上に加速させているようだ。世界経済フォーラム(WEF)のレポート「The Future of Jobs(仕事の未来)2020」によると、2025年までに労働力の自動化とデジタル化が進み、仕事の半分を機械が担うようになり、8500万件の雇用が喪失するとしている。

労働者は現在、自動化の加速と新型コロナウイルス感染症がもたらした不況という二重の脅威にさらされている。WEFの調査によれば、企業の経営陣の80%以上が、デジタル化の加速と新しい技術の導入を考えている。また、雇用主の50%は、業務の一部自動化を推進し、約43%は技術の統合により人員削減を予定しているという。中でも、「データ入力」「経理や事務」「手作業によるルーティンワーク」といった業務は、人から機械に置き換わると分析している。

その一方で、34%の企業は技術の統合により、人員拡充を予定していると回答している。家事や育児、介護などに代表される「ケアエコノミー」をはじめ、「第4次産業革命」ともいわれる技術分野、「コンテンツ制作」といった業種で、9700万件の雇用創出が見込まれる。「エンジニアリング」「クラウドコンピューティング」「製品開発」はもちろん、「グリーンエコノミー」関連や、「データ/AI経済」の最前線に携わる職種の需要増加も期待できる。また、意思決定やコミュニケーションといったタスクに関しては依然として機械より人間が優位で、分析思考力や創造性、柔軟性といったスキルの需要が、今後増加するとしている。

労働者の持つスキルには企業も注目しており、現在の経済の低迷にも関わらず、多くの企業が労働者のリスキル(再教育)の重要性を認識している。約66%の雇用主が、従業員のスキルアップとリスキルに投資したリターンは1年以内に回収できると考えている。「従業員のスキルと能力、つまり人的資本への積極的な投資が、将来最も競争力の高い企業として生き残るための条件となるだろう」と、WEFのSaadia Zahidi取締役は語る。

現在、スキルアップとリスキルに公的資金を利用している企業は、全世界の21%の企業に過ぎない。先に挙げた二重の脅威は若年層、女性、低スキルの労働者の失業を引き起こし、労働者の間でもこれまでにない格差が広がっている。WEFは公的機関に対して、強力なセーフティネットの提供、教育やトレーニングシステムの改善、労働市場と将来の仕事への投資に対するインセンティブ制度の設計といったサポートを求めている。

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Recession and Automation Changes Our Future of Work, But There are Jobs Coming, Report Says

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