ウェアラブルデバイス向けの伸縮自在で洗えるバッテリーを開発――リチウムイオンバッテリーより安全で低コスト

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Photo credit: Kai Jacobson

カナダのブリティッシュコロンビア大学が、伸縮性があり洗えるバッテリーを開発したと発表した。ねじったり2倍の長さに伸ばしたりしても、洗濯しても機能するものだ。この研究の詳細は、2021年11月30日付で『Advanced Energy Materials』に掲載された。

ウェアラブル電子機器は大きな市場だ。電力を必要とするウェアラブルデバイスの開発には、伸縮性があるバッテリーが不可欠だ。しかし、これまでは伸縮性があるバッテリーを洗濯することはできなかった。伸縮性があるバッテリーが日常使用に耐えられるようにするには、これは非常に重大な追加すべき要素だ。

研究チームは、柔らかくて伸縮性があり、洗える電池を作ることで、ウェアラブルな電源を快適で便利なものにすることを目指した。そして今回、柔軟性があり、洗濯することもできる最初のバッテリーとなり得るものを開発した。

通常のバッテリーでは、硬い材料でできている内部層が硬い外装で完全に覆われている。それに対し、今回の研究では、重要化合物である亜鉛と二酸化マンガンを細かく砕いて、ゴム状のプラスチックであるポリマーに埋め込み、伸縮性を持たせた。開発されたバッテリーは、このポリマーで作られた極薄の複数層を、同じポリマーのケーシングで包んだものだ。この構造により気密性と防水性が保たれ、繰り返し使用してもバッテリーが劣化しない。

研究チームは、このバッテリーの密閉性を調べるために、家庭用洗濯機と業務用洗濯機の両方で実際にプロトタイプを洗濯してみた。これまでのところ、39回洗濯したが、洗濯後もバッテリーは無傷で機能しており、非常に強じんであることが分かった。

リチウムイオンバッテリーは、破損したときに有毒な化合物を生成する可能性がある。それに対し、皮ふに接して装着するデバイス向けとして、このバッテリーで採用した亜鉛と二酸化マンガンは、より安全な化学的性質を持つ。さらに、ポリマーには、生体適合性のあるスチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体(SIBS)を用いている。伸縮性がある他の電池と比較して高容量であることも特徴だ。

このバッテリーは工学的に多くの進歩をもたらすものだ。バイタルサインを測定する時計やパッチに加えて、色や温度を能動的に変えられる衣服に組み込むこともできるかもしれない。

研究チームは、バッテリーの耐久性をさらに向上させ、この技術の開発を続けていく予定で、このバッテリーの出力とサイクル寿命を向上させるための研究が進行中だ。

この新しいバッテリーは、既に商業的関心も集めている。使用材料は驚くほど低コストなので、大量生産されれば安くなるはずだ。消費者に提供できるようになれば、従来の充電式バッテリーと同じ値段になる可能性がある。

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