阪大、世界記録である10ペタワットの10倍以上となる超高出力レーザー光を生成する新技術を開発

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大阪大学は2021年1月21日、同大学レーザー科学研究所の研究グループが、現在の超高強度レーザーの世界記録である10ペタワット(1016ワット)を10倍以上超える超高出力レーザー光の生成を可能にする新技術を開発したと発表した。

10ペタワットの超高強度レーザーは、1985年にノーベル賞を受賞したCPA(Chirped Pulse Amplification)法を利用して欧州連合と中国で建設したものだ。CPA法では、レーザー発振器から取り出された微小な出力の超短パルスレーザー光(3~30フェムト秒)を伸張器で時間的に延伸し、長パルス(1〜2ナノ秒)の状態で損傷を生じずにエネルギー増幅した後、圧縮器で再び元の超短パルスに圧縮することでレーザーピーク強度を飛躍的に高める。

しかし、レーザー増幅を用いたCPA技術だけでは、光学系の口径を技術的にこれ以上大きくできず、これ以上のピークパワーの飛躍的な増大は困難だ。レーザーパルスの時間幅を10フェムト以下に極短パルス化すれば、同じパルスエネルギーであればレーザー装置のコストをほぼ変えずにピークパワーを上げられるが、現在のレーザー材料による増幅では、極短パルス化に必要な超広帯域のエネルギーを増幅できない。

そこで研究者らは、広角非同軸光パラメトリックチャープパルス増幅法(WNOPCPA)を開発した。これは、光パラメトリック増幅の特性を活用した技術だ。光パラメトリック増幅はレーザー材料よりも広帯域増幅が可能で、増幅部の非線形結晶への励起光の入射角度によって利得帯域の中心波長がシフトする。このため、レンズを用いて励起光に角度傾斜を付け、非線形材料に入射させるだけで帯域幅を広げられる。

さらに、同様の角度傾斜を持つ励起光を複数用意して各々の励起光の入射角を変えることで、単一の場合に比べてはるかに広い帯域でレーザーを増幅できる。通常のCPAと比較すると、圧縮後のレーザーパルスは、パルス時間幅が2分の1〜10分の1に短くなる。

WNOPCPAからのレーザー出力は、非線形圧縮技術によって再び圧縮できる。レーザー光を薄膜/薄プレートを通過させると、非線形効果によりスペクトル幅が大幅に広がり、生成された時間チャープ光をチャープミラーによって補正することで、さらにパルス幅を短くすることが可能だ。これにより、理論シミュレーションでは、レーザーのピークパワーが約5倍に増大する。

WNOPCPAは、レーザーパルスエネルギーを増大することでピークパワーを高めてきた従来の手法とは異なり、パルス幅を劇的に短くすることによってピークパワーを高め、同じパルスエネルギーで10倍以上のピークパワーを可能にする。研究グループによると、WNOPCPA技術を非線形圧縮技術と組み合わせれば、超高強度レーザーのピークパワーをさらに向上することが期待できるという。

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