- 2021-2-26
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- ACS Applied Materials & Interfaces, バイオメディカル, マイクロオペレーション, マイクロバブル, マイクロロボット, マイクロ部品, モジュール組立, 学術, 生物組織工学, 産業用ロボット
産業用ロボットは、自動車製造や飛行機塗装、衣服縫製など、様々な分野で幅広く利用されているが、バイオメディカルなどマイクロスケール部品の組み立ては自動化が難しい。今回、中国科学院の研究チームは、レーザーを使用して発生させた気泡をマイクロロボットとして機能させる技術を開発した。マイクロロボットは、マイクロ部品を、持ち上げ、落とし、回転し、固定して組み立てることができる。研究の詳細は、『ACS Applied Materials & Interfaces』誌に2020年12月10日付で公開されている。
これまでマイクロ部品の組立研究の主流は、光や音を利用して微細な気泡を作り出し、2次元のものを組み立てる手法だった。また最近では、3次元空間においてレーザーによる気泡で物体を回転させることにも成功している。しかしこれらの方法では、バラバラの部品を1つに組み立てて、丸ごと動かすことはできなかった。
今回研究チームは、レーザーを使用した方法を基に、部品を分離不可能な状態に組み立てて、できあがった本体の動きを制御するマイクロロボットを開発した。水中で、マイクロバブルを発生するレーザーを樹脂製のマイクロ部品の下に当てる仕組みだ。レーザーのオンとオフを切り替えることでマイクロバブルの大きさは変化し、オンの状態が長いほど気泡は大きくなる。レーザーをオフにすると、気泡はゆっくりと溶けて部品の表面に落ちていく。レーザーは移動式のため、部品の目的の位置にマイクロバブルを落とすことが可能だ。複数のマイクロバブルを組み合わせることで、部品を持ち上げたり落としたり、決められた位置に移動させたり、回転したりできる。さらに、組立後の物体を押すことも可能だ。
研究チームは、ジョイントにより動かしても分離しない部品を作り、異なるタイプの部品を組み合わせて、歯車やヘビの形をしたチェーン、立体的なミニカーなどを作製した。マイクロロボットによって、製作物のさまざまな動きを制御する。今回開発したマイクロロボットは、生物組織工学、マイクロオペレーション、モジュール組立など、幅広い分野で役立つことが期待できると研究者たちは述べている。