MIT、次世代核融合反応炉をスタートアップと共同研究

Visualization by Ken Filar, PSFC research affiliate

米マサチューセッツ工科大学(MIT)は、米国エネルギー省(DOE)傘下のプリンストンプラズマ物理研究所(PPPL)と協力し、「SPARC」と呼ばれる次世代核融合反応炉の研究開発を進めている。MITはDOEからの補助金を得て、トカマク型原子炉を用いた高性能核融合グレードのプラズマ開発をスタートアップ企業Commonwealth Fusion Systemsとも連携して進めている。研究成果は『Journal of Plasma Physics』に2020年9月29日付で発表されている。

SPARCは、これまでにない燃焼プラズマを実現するための実験装置として計画されており、水素の異なる同位体が融合してヘリウムを生成し、他のエネルギー投入を必要としない自立型核融合反応を実現する装置だ。研究者らは、燃焼プラズマの挙動について研究を進め、実用的な発電プラントの試作装置開発に必要な情報を得ているという。

SPARCは、フランスで建設が進むITERのトカマク型核融合装置よりも小型でありながら、同等の性能を達成できると期待されている。超伝導磁石の進歩により、高温プラズマをより強力な磁場で閉じ込められることが鍵となったようだ。

初期の装置設計におけるコンピューター計算で、エネルギー増倍率を表すQ値はSPARCでは2以上になるように設定されているという。つまり、反応を起こすために投入したエネルギー量の少なくとも2倍の核融合エネルギーが生成されることを意味する。最新の研究結果では、SPARCのQ値は実際には10以上になる可能性があることも示されたようだ。

研究計画では2021年6月ごろに建設開始を目指しているという。これまでのところ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックによる遅れもほとんどないようだ。

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