バイオ燃料の製造コスト削減につながる補酵素生成技術を開発――人工光合成への活用にも意欲

バイオマスからブタノールやエタノールを製造するコストを半分にできれば、バイオ燃料やフレックス燃料が化石燃料との価格競争力を増してくるかもしれない。そう考えて研究に取り組んできた米オハイオ州立大学の研究チームは2021年1月8日、植物に含まれる糖を燃料用のアルコールに変換する際のコストを抑制できる可能性がある技術を発表した。

生物のエネルギー代謝では酸化還元反応を利用している。その際、中心的役割を担っているのが、NADHやNADPHといった補酵素だ。同大学の研究者らは、これらの補酵素を安価で簡単に生成する技術を開発した。

研究者らは安価な元素、ニッケルと銅を層状にして電極を構築。これを用いた化学反応により、NAD+とNADP+を、NADHとNADPHに還元できた。また、NADPHを用いた代謝でエタノールを生成し、電極の有用性を示している。

今回発表の技術はバイオ燃料の生産のみならず、人工光合成による酸素の生成にも活用できる可能性がある。植物はNADPHを使用して二酸化炭素を糖に変え、最終的に酸素を生成する。研究を主導したVish Subramaniam氏は長年、人工植物の開発に注力してきた経歴があり、NADPHを入手しやすいものにして十分な規模を確保できるようになれば、待機中の二酸化炭素の量を削減できる可能性もあるのではないかという考えを示している。

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Scientists develop a cheaper method that might help create fuels from plants

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