バッテリーに匹敵する高効率スーパーキャパシタを実現する、グラフェンハイブリッド材料を開発

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Image: J. Kolleboyina / IITJ

独ミュンヘン工科大学は、2021年1月4日、新しいグラフェンハイブリッド材料を作製し、バッテリーに匹敵する高効率のスーパーキャパシタを開発したと発表した。研究成果は『Advanced Materials』に2020年12月4日付で発表されている。

スーパーキャパシタはバッテリーとは異なり、大量のエネルギーを素早く蓄えることができ、素早くエネルギー放出できるところが利点だ。しかし、エネルギー密度が低いことがこれまでの課題だった。リチウム蓄電池のエネルギー密度は1kg当たり最大265Whだが、スーパーキャパシタはその10分の1程度のエネルギー密度しかないという。

研究者らは、スーパーキャパシタの正極として機能する新しいグラフェンハイブリッド材料を開発し、2次元層状化合物Ti3C2Tx MXene(チタン3層と炭素2層から成る層状化合物)から成る負極と組み合わせて、高電圧の非対称スーパーキャパシタを作製した。セルのエネルギー密度は最大で73Wh/kgに達し、ニッケル水素電池のエネルギー密度とほぼ同等だという。さらに、電力密度は16kW/kgで、既存のスーパーキャパシタよりもはるかに優れている。

研究の鍵は、自然界でさまざまな材料が組み合わさって進化し最適化した歯や骨などから着想を得て、基本的な材料を組み合わせたところにあったという。研究者らは、金属有機構造体(MOF)とグラフェンの両方の特性を保持し、互いの欠点を補うハイブリッド材料を試すことにした。MOFは優れた比表面積と規則正しい細孔分布という構造特性を持つが、導電性や機械的安定性に問題がある。 一方、グラフェンは高表面積、優れた導電性や機械的強度などの特性を持つが、グラフェンシートは隣接する層間に強いファンデルワールス力が働くため、グラフェン本来の特性を失ってしまう傾向がある。

研究者らは、カルボン酸官能基を有するグラフェン(グラフェン酸)とアミン官能基を有する有機金属構造体をアミド結合で共有結合させ、化学的に安定した階層的ナノ構造体を作り出した。

作製されたグラフェンハイブリッド材料は、導電性を持つグラフェン酸とミクロ細孔性MOFと組み合わせて設計した結果、1g当たりの内表面が900m2という大きさを実現し、スーパーキャパシタの正極として高い性能を発揮できるようだ。キャパシタの静電容量は、従来のグラフェン系材料使用時より大幅に上回り、1g当たり最大651Fを達成したという。

グラフェン酸とMOF-アミノ酸とのアミド結合が、このハイブリッド材料に化学的安定をもたらしている。アミド結合がπ共役構造の形成に重要な役割を果たしており、π共役構造が電荷移動を促進して大容量とサイクル安定性をもたらしているようだ。結合が安定しているため、長期にわたって性能を損なわず、放充電サイクルを増やすことができるという。実験では、最大1.7Vでの1万回以上のサイクル後でも容量88%を維持した。リチウム蓄電池の耐用年数は約5000サイクルといわれており、今回開発された材料を用いたスーパーキャパシタはその2倍の寿命を達成したといえる。

今回開発されたような階層的二次元ナノシートであるハイブリッドグラフェン材料は、エネルギー貯蔵、太陽電池、生物学への応用が期待されている。

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Supercapacitors challenge batteries
Covalent Graphene‐MOF Hybrids for High‐Performance Asymmetric Supercapacitors

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