空間分割多重技術を用いて伝送容量拡大と消費電力低減の両立に成功 NTT

日本電信電話(NTT)は2023年9月28日、増幅用光ファイバに12コアを高密度に配置したマルチコア構造を用いて、主要な通信波長帯であるC帯(波長1550nmの近傍)で、世界初のマルチコア一括増幅による伝送容量拡大と省エネルギー化を両立したと発表した。

今回の研究でNTTが用いた増幅用光ファイバは、伝送路光ファイバと同等のマルチコア配置を維持したまま、増幅用光ファイバの外径とコア直径を、それぞれ縮小、拡大することでコアのクラッドに対する面積比率を最大化し励起光の使用効率を最大化した。

一方、増幅用光ファイバのコアの面積比率を高めるためにクラッド直径を縮小したことで、伝送路光ファイバと増幅用光ファイバとの接続点でクラッド直径が整合せず、励起光の一部が損失するという課題が生じた。また、光増幅に使用されず増幅用光ファイバ伝搬後に残留し、除去されてしまう励起光が発生するという従来の課題もそのままだった。

そこで、今回の研究では、テーパー構造と反射デバイスを採用することで励起光損失や残留励起光を低減し、さらに光増幅の効率を高めることに成功した。

これによって、従来技術に比べ消費電力を67%低減し、マルチコアファイバを用いた伝送容量拡大技術と省電力化を両立できることを世界で初めて実証した。

マルチコアファイバなどの空間分割多重技術は、今後の伝送容量の拡大に貢献すると期待されているが、現状の光増幅方式では伝送容量の拡大にともない、長距離光通信で必須となる光増幅器の消費電力も増大してしまうという課題があった。

NTTは、これまでのインフラの限界を超えた高速大容量通信や膨大な計算リソースなどを提供できるネットワークおよび情報処理基盤を実現するとして、IOWN構想を掲げ、2030年の実現を目指している。今回の成果についても、IOWNが目指す10チャネルを超える空間分割多重伝送路の候補の一つとして、2030年をめどに技術確立を図るとしている。

研究成果は、英スコットランドで開催される光通信技術に関する世界最大の国際会議「European Conference on Optical Communications(ECOC)」で10月4日に発表される。

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世界初、空間分割多重技術を用いた伝送容量拡大と消費電力低減の両立に成功~マルチコア構造を用いた一括光増幅器により消費電力を67%低減~ | ニュースリリース | NTT

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