銅ナノ粒子を用いたインクジェット向け導電性インクを開発――分散剤/溶剤の配分を最適化 大陽日酸

大陽日酸は2021年3月26日、プリンテッドエレクトロニクス向けのインクジェット印刷に適用可能な銅ナノ粒子を用いた導電性インクを開発したと発表した。

導線配線の形成手法として、従来のエッチング技術に変わり加工工程がシンプルで環境負荷が低いプリンテッドエレクトロニクス技術が期待されている。導電性インクなどを用いて印刷技術によって導電配線を形成するプリンテッドエレクトロニクス技術では、幾通りかの印刷方法が存在する。そのうち導電性インクを用いたインクジェット方式は、印刷版が不要なためにモデルチェンジや少量多品種生産に有利な技術として関心が寄せられている。

同社が開発した導電性インクは、独自開発の酸素燃焼による金属ナノ粒子合成技術を適用して合成した銅ナノ粒子を用いたものだ。同技術で合成した銅ナノ粒子は、表層が亜酸化銅で皮膜された乾粉の粒子だ。従来の湿式プロセスで合成されたものと違い有機保護膜が無いため、焼結時のアウトガスが少なく、低温で焼結する性質を持つ。

今回、同粒子を用いて分散剤/溶剤の配分を最適化することで、インクジェット印刷可能な導電性インクを開発した。本導電性インクの主な仕様は、金属濃度:30wt%、粘度:5~20mPa・Sである。

この導電性インクは、銅ナノ粒子が長時間分散状態を維持し、インクジェット印刷機のノズルを閉塞せずに吐出できるので、微細な配線パターンを印刷できる。また、キセノンランプなどを用いた光焼成技術を用いることで、容易に導電性を発現できることも確認しており、インクジェット印刷による透明導電膜用タッチパネルや有機ELの導電配線などでの利用が期待できる。

インクジェット印刷機にて印刷した銅ナノインクの導電配線パターン

今後はユーザーへのサンプル提供を進めるとともに、本格的な商品化を進める計画だ。

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