- 2024-8-20
- 技術ニュース, 機械系, 海外ニュース
- エアバスA320商用機, コンピテンスセンターTechForH2, チャルマース工科大学, トーマス・グルンシュテット, 商用水素飛行, 水素燃料航空機, 液体水素, 熱交換器, 燃料タンク
スウェーデンのチャルマース工科大学は2024年7月11日、2045年までに半径1200km以内のほぼすべての空の旅が、水素燃料航空機で行われる可能性があると発表した。
水素を動力源とする航空では、短距離と中距離のフライトが最も実現に近く、2045年までに北欧における97%の飛行ルートと58%の利用客のニーズを満たす可能性があるという。
同大学は、最大飛行距離を約1200kmと想定し、水素動力用に改造した従来の航空機モデルを使用して研究を行っている。研究グループは、十分な燃料を保持でき、液体水素を過冷却状態に保つための十分な断熱性を持ち、かつ従来の燃料タンクシステムよりも軽量な新しい燃料タンクも紹介した。
熱交換器は水素航空においてとても重要な技術だ。燃料システムを軽量に保つためには、航空機内で水素をマイナス250℃程度の過冷却状態に保つ必要がある。同大学は、水素の貯蔵温度を利用してエンジン部品を冷却し、その後、排出ガスの廃熱によって燃料を数百度まで予熱して燃焼室に噴射する、まったく新しいタイプの熱交換器の開発に取り組んでいる。研究者らは、通常のエアバスA320商用機にこの熱交換器技術を搭載することで、航続距離を最大10%(約724km)伸ばすことができると述べている。
同大学の教授兼コンピテンスセンターTechForH2のディレクターである Tomas Grönstedt氏は「すべてがうまくいけば、水素飛行の商業化は今すぐにでも実現できる。早ければ2028年にスウェーデンで最初の商用水素飛行が実現する可能性がある」と述べた。
関連情報
Hydrogen flight looks ready for take-off with new advances – Chalmers